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記事2015年12月23日 2361号 (1面) 
大学入学希望者学力評価 テストの記述式問題イメージ例を提示
高大接続システム改革会議 記述式問題を導入へ
当面は「国語」と「数学」で実施

文部科学省の高大接続システム改革会議(安西祐一郎座長=独立行政法人日本学術振興会理事長)は平成27年12月22日、同省内で第9回会議を開いた。年度末の報告とりまとめに向け審議を進めているが、この日は現在の大学入試センター試験に代わり平成32年度からの実施を予定している「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を中心に検討した。初めに同会議新テストワーキンググループの岡本和夫主査(独立行政法人大学評価・学位授与機構理事)と文科省からこれまでの検討状況が報告された。  それによると、知識の修得状況や分析的な思考力、統合的な思考力や表現力の評価が一層重視されていること、問題の質的改善による思考力・判断力・表現力の重視、総合的な思考力をより評価するための記述式問題の導入が必要で、当面、高校で必履修科目が設定されている「国語」「数学」でとし、なかでも「国語」を優先させること、自由記述式ではなく条件付き記述式とし、採点基準の作成が不可欠、試験時間や採点期間の確保のため記述式テストは別の日程で実施することなどを検討する方針、とした。  現在の大学入試センター試験の回答はマークシート方式。そのため安西座長は、「答えの候補が与えられていない中で自ら書き出していくことを重視したい。(記述式問題はコストがかかると言われるが)コストとメリットの比較で、これからの時代はメリットを取っていくべきだ」と語った。こうした方針に沿って試作した「国語」と「数学」の記述式問題のイメージ例が初めて会議の委員に提示された。「国語」では、複数の図表や文章を読み、情報を統合しながら、考えを構成し表現する問題や、1400字程度の新聞記事を、一定の目的に沿って読み取り、得られた情報を取捨選択したり、自分の考えを統合しながら新たな考えにまとめ、200〜300字で表現する問題。数学では「スーパームーン」に関する記事を読み、月が地球から最も離れた時に見える満月と比べスーパームーンはどのくらい大きく見えるかを計算する問題等が例示された。  文部科学省等の説明の後、委員からは高校の学習指導要領との整合性を問う意見が出されたが、文部科学省は学習指導要領と十分に整合性を取ると説明。また私立高校長の委員はテストイメージや記述式重視の方針を評価、「採点に相当なマンパワーが必要な記述式テストを別日程で実施することも仕方ない。必ずしも学習内容に拘らず思考力等を問う問題なら実施時期は押し詰まった時期でなくてもいい。複数回という考え方も変わるのではないか」と語った。  新テストの実施時期は高校や大学関係者と意見交換して決定される。  次回は記述式の具体的実施方法や「高等学校基礎学力テスト(仮称)」について検討する予定。第9回会議ではこのほか、国立大学協会が高大接続改革の議論に今後、積極的に参画していく方針を表明した。

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