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記事2015年12月13日 2360号 (1面) 
実践的な職業教育行う新高等教育機関特別部会
入学者像や学位など改めて審議
今なお見えぬ全体像との声も




 中央教育審議会の「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会」(部会長=永田恭介・筑波大学長)は12月7日、文部科学省内で8回目の部会を開き、新制度の制度設計の検討を進めた。

 討議の材料となったのは、「新たな高等教育機関の制度化に向けた論点(論点T〜\関係)―改訂―」で、そのうち論点\「他の高等教育機関との関係、産業界等との連携」がこの日の中心課題だったが、多くの委員が論点T「養成する人材像・身に付けさせる資質能力」などに言及、全般的な審議となった。委員からは、「2011年に中教審でキャリア教育・職業教育の答申があったが、産学連携はまだ不十分。大手企業にとってインセンティブが少ない」といった意見や、「個別の企業と連携して教育すると、出口が狭められる」「新高等教育機関と個別の企業との関連はありうる。その中でいかに公共性、国の人材育成のメリットが担保されるかで、韓国にはそうした仕組みがある」といった意見が聞かれた。

 また、新高等教育機関の想定する学生像は、「トップレベルの学生」と話す委員がいる一方で、「基本的には中堅のチームリーダー、ボリュームゾーンを送りだす学校」とする意見も聞かれた。

 さらに現在の制度設計では専門学校を上回る学費が必要になる見込みとして学費軽減策が必要との意見も聞かれた。

 加えて、新高等教育機関は前期の課程と後期の課程に分割して開設することも可能としているが、後期のみの開設が可能なのか、例えば短期大学に新高等教育機関の後期課程を繋げて学士の学位取得が可能なのか、との質問も出された。別の委員からは学位拡散を懸念する意見も聞かれた。この問題について永田部会長は今後議論が必要と整理した。審議は各論の審議を行っていることもあって、「全体の枠組みを決めた方が、全体が見えてくる」「大学等のアカデミックの看護教育と新高等教育機関の職業実践的な看護教育の二つができるのか」といった意見も聞かれるなど、大学や短期大学ではなしえない新高等教育機関の役割が依然、明確ではないことも明らかになった。国際通用性に関しては、ヨーロッパや東南アジアで進展している学位の枠組み作りに合わせて、「学修内容のレベルと学位を連動させていく仕組みづくりを考えないと、わが国は東南アジアからも取り残されてしまう」といった質保証の重要性を指摘する意見も聞かれた。次回は来年1月20日に開催予定。



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