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記事2015年12月13日 2360号 (1面) 
株式会社立 通信制高校等家宅捜索
就学支援金不正受給の疑い

 三重県伊賀市の株式会社立の広域通信制高校・ウイッツ青山学園高校(西尾隆一校長)とその運営会社のウイッツ(福村康廣社長)、その親会社の東理ホールディングス(東証2部上場)等が12月8日、一斉に東京地検特捜部の家宅捜索を受けた。高校生に支給(学校が代理受領する仕組み)されている就学支援金の不正受給の疑いで、詐欺の疑いとの報道もある。

 株式会社東理ホールディングスの福村康廣社長は容疑を否定しているが、記者会見で就学支援金の一部を生徒に渡していたことは認めている。一部報道では高校卒業者に再度、高校入学を斡旋、就学支援金を不正に詐取したとの報道もある。

 馳文部科学大臣も東京地検特捜部の捜査の推移を見守りつつ、法令に基づいた調査等を行う方針で、そのほかの広域通信制学校に広がる可能性もある。

 ウイッツ青山学園高校のホームページによると、同校には、全国各地に点在するLETS キャンパス(教室)がある。ホームページでは「当校が認定した正式な教室」としているが、12月9日の東理ホールディングスの発表では、「全国各地に約50校のLETS校があるが、ウイッツ青山学園高校と資本や人的関係はなく、経営についてはウイッツ青山学園高校とは関係ない」としており、大きな違いを見せている。

 広域通信制高校を巡っては、数年前から構造改革特区(株式会社の学校設置)の評価時に大きな問題が指摘されており、高校を持たない地方自治体が高校教育を管理・監督する(特区での株立学校の場合)困難さを自治体関係者も吐露しており、中央教育審議会の高校教育部会でも広域通信制高校に関しては教育や学校運営に問題がある学校もあるとの調査結果が報告されていた。

 全国の都道府県私学審議会委員で組織する全国私立学校審議会連合会も10年以上にわたって文部科学省に問題の改善を要請している。

 十分な管理・監督が困難な状況の中で、今回、公金の不正受給が行われていたことになり、文部科学省も事態改善の動きを速めることになりそうだ。
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