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記事2015年11月3日 2356号 (1面) 
高大接続システム改革会議が第7回会議
中間まとめで9団体からヒアリング実施

文部科学省の高大接続システム改革会議(座長=安西祐一郎・独立行政法人日本学術振興会理事長)は、十月二十八日、同省内で第七回会議を開いた。この日は全国高等学校長協会、日本私立中学高等学校連合会、全国都道府県教育長協議会、全国高等学校PTA連合会、国立大学協会、公立大学協会、日本私立大学団体連合会、全国公立短期大学協会、日本私立短期大学協会の九団体が、同会議の「中間まとめ」について意見発表を行った。この日、二つの新テスト創設で教育の見直しなどを求められている高校の関係団体からは新テストなどの詳細な制度設計が不明確のため慎重な対応や二つのテストの統合を求める意見が聞かれ、また委員からは依然、高等学校基礎学力テストの悉皆実施を求める意見も出された。

 また、日本私立中学高等学校連合会は、二〇二〇年の改革実施にこだわることなく、先ず、現在、中央教育審議会で審議中の次期学習指導要領の改訂を待ち、その教育内容を反映した新たなテストシステムと、その評価方法を確立してから、新制度に移行するべきだと考える」と指摘。その上で「IRT、CBTの実施に関しては作問のストック、記述式回答の評価など課題が山積。高等学校基礎学力テスト(仮称)は制度設計が不十分なまま施行しながら検討するであれば実施の延期を提案する」との考えを表明した。

 一方、選抜する側の大学団体の内、国立大学協会は当分の間、個別入試で引き続き学力試験を課していく考えを表明、私大団体連は私大の多様な個性を尊重する制度を要望。そのほか委員からはセンター試験の検証を求める意見が聞かれ、安西座長は制度の実効性を高めるため、現実の課題を抱える大学関係者と文科省のさらなる連携の必要性を指摘した。国立大学の個別選抜で、内容は思考力等型にシフトしていくとはいえ、当面従来型の学力試験を課すことに関しては、思考力等に重点が置かれる新テストと並行しての指導が必要な高校側は難しい対応を迫られそうだ。日本私立短期大学協会からは新テスト受検料の低廉化などが要望された。

 新テストの作問がイメージできないということもあって意見発表した団体からはCBTやIRTでの実施実現に疑問を投げかける意見も数多く聞かれた。また記述式回答も導入される予定で、複数回のテスト実施に対応できるのか、さらにかなりのコストを懸念する意見も聞かれた。問題サンプルづくりにはもう少し時間を要する見通しだ。
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