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記事2015年11月23日 2358号 (1面) 
大学ガバナンス改革検討会議
監事の在り方で踏み込んだ議論
国立大交付金毎年1%減少も議題に

 文部科学省の「大学のガバナンス改革の推進方策に関する検討会議」(座長=小林栄三・伊藤忠商事株式会社取締役会長、大阪大学経営協議会委員)が11月10日、文部科学省内で第7回の会合を開いた。学長の業務執行のチェック機能を主な議題とし、特に監事について踏み込んだ議論を行った。

 国立大学法人の監事は、業務報告書や規則の整備・実施状況、中期・年度計画の実施状況、予算決算の状況などについて監査を行い、必要であれば学長または文部科学大臣に意見を提出する権利を持つ。平成27年3月の独立行政法人通則法の改正で「監査報告」の策定が規定されるなど、監事の監査機能の強化が図られた。そうした現状を踏まえた検討課題として、「監事の選任において、幅広く人材を確保するには公募や選考会議の設置といった工夫が必要ではないか」「監事は2人とされているが、大学の規模によってはそれ以上置くことも許容すべきではないか」「常勤・非常勤は各大学の判断だが、少なくとも1人は常勤とすべきではないか」等が挙がっている。委員からは「学長に権限を集めたのだからブレーキ役がいる。それが監事の機能だ」「求められる資質は『学長にものが言える』こと。そうした人材の選任を促すべき」「監事とは別に、監査の実施をサポートする調査機能が欲しい」等の意見が出た。

 また、財政制度等審議会が10月に示した「国立大学運営費交付金は毎年1%減少、自己収入を毎年1・6%増加」との考え方が議題となり、文科省は「過去12年間で既に約12%減少しており弊害が生じている、改革推進には経費の確保が必要、自己収入の獲得に努力しているが運営費交付金の削減分をまかなうのは困難」と考える、との説明があった。これについて「この上削減されると大学の基礎基盤も失われる」との危機感を口にする委員がいる一方、「国立大学に経営があるといえるのか。従来のままでは国民の納得は得られない」等の厳しい意見や、「国公私立を通じたシステムを考えなければならない」と大学全体の課題と受け止めての意見も出された。



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