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記事2015年11月13日 2357号 (1面) 
新しい時代を担う魅力ある私学教育研究目標に
10月29〜30日、600人の私立中高校教員ら参加
第63回全国私学教育研究集会長野大会開催
教育改革が急ぎ進展する中 私学としての対応などで研修

 第63回全国私学教育研究集会長野大会が10月29・30の両日、長野市内のホテルで開かれた。今年の研究目標は、「新しい時代を担う魅力ある私学教育〜安心と信頼に裏打ちされた私学教育の充実を目指して〜」。全国から参加した私立中学高校の校長や教員ら約600人が、初日は中央情勢報告や記念講演などで、2日目は教育課程や特色教育など六部会での実践発表等で研修を積んだ。




 初日の全体会では、中央教育審議会の委員等を務める吉田晋・日本私立中学高等学校連合会長(一般財団法人日本私学教育研究所理事長)と中川武夫・同研究所長が「教育政策と私学情勢について」と題して中央情勢を報告した。このうち吉田会長は、学習指導要領の改訂の動向、奨学金を含めて何の支援策もない私立中学生への支援の必要性や選挙権年齢が18歳以上となったことについては学校現場でさまざまな問題が発生する見通しなどを報告、各学校での対応の必要性を訴えた。また中川所長は、アクティブ・ラーニングの評価をどうすべきか、また英語教育や教員養成の動向などを報告した。

 初日にはこのほか鎌田實・諏訪中央病院名誉院長による記念講演「生きるってすばらしい〜命・教育・希望・絆〜」、地元・文化学園長野中学・高校生徒によるファッションショーが行われた。

 2日目は、私学経営、教育課程、法人管理事務運営、特色教育、生徒の指導・支援、学習・進路指導の6部会に分かれて、講演やパネル・ディスカッション、実践発表、事例発表等が行われた。

 このうち、「『教師力』の向上〜『学校力』の強化に向けて〜」を研究目標にした私学経営部会では、初めに實吉幹夫・東京女子学園中学高校理事長・校長が「改革の時代の私立学校〜学校は教員に何を求めるのか〜」の演題で講演した。その中で實吉校長は、以前のものを全部否定しての急ピッチの改革や産業界の要請を強く意識した教育改革への疑問や、しかし同時に敏感にアンテナを張って教育界をめぐる動きをキャッチしていく重要性、今後さらに広がる双方向授業や教科横断的授業では教師の力量が今まで以上に問われることなどを強調した。

 続いて地元を中心に食品等の事業を展開する株式会社サンクゼールの久世良太代表取締役専務が同社の経営理念と企業戦略について講演、ぶれない経営や誠実さ、素直さ、謙虚さの尊重等で人材の定着、好調な業績を上げている経営を紹介した。

 その後、長野県県民文化部私学・高等教育課の轟寛逸課長が、「長野県の私学の現状と課題」で報告、今後は生徒収容をめぐって私立学校の経営を考慮した公私立配分の必要性等を指摘した。その後、私学経営部会の研究目標をテーマにして、パネル・ディスカッションが開かれた。その中では教師の現状と理想、学校力の中身などについて3人のパネリストがコーディネーターを挟んで活発な意見交換を行った。
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