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記事2015年10月3日 2353号 (1面) 
選挙権年齢引き下げて高校生向け副教材
総務省文科省 教師用指導資料も同時に作成

 選挙権年齢を満18歳以上に引き下げる公職選挙法改正法が国会で成立したのを受けて、選挙を所管する総務省と文部科学省は、このほど、高校生向け副教材「私たちが拓(ひら)く日本の未来―有権者として求められる力を身に付けるために」(B5判)と同副教材活用のための教師用指導資料(B5判)を作成した。

 このうち高校生向け副教材は、約100ページにわたって、有権者として身に付けるべき資質や選挙や政治の仕組み等の解説に加えて、国家・社会の形成者として求められる力、そうした力を身に付けるために必要なアクティブ・ラーニング型授業の重要性、民主政治で基本となる話し合い、討論の手法、ディベートの手法を活用しての政策論争の進め方、政策論争のテーマとなる地域課題の見つけ方、実際の選挙に合わせての模擬選挙の仕方、模擬議会の開催の仕方などを説明している。最後に参考編として、18歳以下の高校生も含め公職選挙法違反となる事例などを紹介している。

 一方、教師用指導資料も約100ページにわたって、副教材を活用した指導事例等を紹介しており、ディベートや模擬選挙などの実践的な学習を行う際には、@正解が一つに定まらない問いに取り組む学びA学習したことを活用して解決策を考える学びB他者との対話や議論により、考えを深めていく学びの重要性を指摘している。

 また話し合い、討論の手法における指導上の留意点として、テーマについては身近な地域や生活の中に関連付けられる課題については意欲的に取り組みやすいこと、話し合いのルールを定める必要があること(木津川上流住民対話集会等で採用された具体的ルールを紹介)、また話し合いを深める方法として、模造紙などを使って話し合いの見える化を進め、生徒の参加度を高めること、ディベートそのものの詳細な説明、ディベート終了後に、論争で負けた生徒へのフォローアップ、アンケートを実施しディベートで獲得できたスキルなどを生徒に確認させること、地域課題の見つけ方、模擬選挙を行うに当たっての、事前学習の事例や公民科の授業での学習指導案、模擬選挙を実施するに当たっての配慮事項、公職選挙法上の留意点等を紹介している。実際の選挙に合わせて実施する模擬選挙の場合、法に抵触するケースを紹介しているが、選挙公報等の入手や投票箱等実践的な器具を借り入れることも可能となることも含め、法律について深い見識を持つ選挙管理委員会等との連携を図ることが望まれるとしている。

 特に教育者の地位利用の選挙運動の禁止(公職選挙法第137条関係)や第3学年等において模擬選挙を実施する場合、その中でも選挙期間中やその直前での実施には慎重な対応の必要性を強調している。そのほか模擬請願、模擬議会の具体的な進め方等を掲載している。



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