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記事2015年1月13日 2328号 (1面) 
平成27年度税制改正大綱決定
個人寄附 税額控除要件を緩和
教育資金一括贈与、期間延長

 昨年末の衆議院議員選挙の影響から、来年度予算案編成等の作業が例年に比べ20日程度ずれ込んでいる中、政府与党(自由民主党、公明党)は、休日返上で審議、昨年12月30日に「平成27年度税制改正大綱」を決定した。そのうち私学に関わりの深い事項を中心に報告する。(編集部)




 文部科学省関係で今回の税制改正で要望が認められたのは、@学校法人への個人寄附に係る税額控除の要件の見直し(所得税)、A教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の拡充(贈与税)、B試験研究を行った場合の法人税等の特別控除(法人税等)、C公益社団・財団法人が所有取得する重要無形文化財の公演のための施設等に係る課税標準の特例措置の拡充(固定資産税等)、DPFI法に規定する選定事業者が取得する国立大学の校舎に係る課税標準の特例措置の延長(固定資産税等)、E独立行政法人の組織見直しに係る税制上の所要の措置等(法人税等)―の6点。

 このうち、@に関しては私学団体、文部科学省とも、個人が学校法人に寄附した際にその個人が税額控除も選択できる要件(学校法人の寄附受け入れ実績に関する要件)の撤廃を求めていたが、撤廃は認められなかった。

 ただし要件のうちの一つ、3千円以上の寄附者数が年平均100人以上という要件に関して、小規模学校法人に配慮して、収容定員が5千人未満の場合は、定員の合計数を5千で除した数に100を乗じた数(最低10人)以上であって、かつ寄附金額が年平均30万円以上であればいいと緩和されることになった。

 例えば収容定員が千人の場合、寄附件数は年平均20件以上でよく、寄附金額は30万円以上であればいいということになる。

 Aの一括贈与に関しては、金融庁との共同要望だったが、この非課税制度を平成31年3月31日まで延長する。教育資金と認める使途の範囲に通学定期券代、留学渡航費用等を追加する。平成28年1月1日以降、金融機関に提出する書類に関して手続きを簡素化する。

 具体的には、金融機関への領収書等の提出について、領収書等に記載された支払金額が1万円以下で、かつ、その年中における合計支払額が24万円に達するまでのものについては、当該領収書等に代えて、支払先、支払金額等の明細を記載した書類を提出すればいいことになる。

 一方、今回、税制改正要望が認められなかった事項もある。

 文部科学省関係は5点。そのうちの一つが国立大学法人等への個人寄附に係る税額控除の導入(所得税)で、同時に国立研究開発法人への寄附に係る税制措置(所得税等)、独立行政法人国立美術館等への寄附に係る税制措置(所得税等)も認められなかった。

 またゴルフ場利用税の廃止、登録有形文化財である家屋に係る課税標準の特例措置の拡充も認められなかった。
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