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記事2014年9月3日 2316号 (1面) 
文科省が平成27年度税制改正要望
個人寄附の税額控除 要件の撤廃を要望
教育資金の一括贈与 制度拡充、恒久化を

 文部科学省の平成27年度税制改正要望もこのほど明らかになった。要望事項は、@寄附税制の拡充、A教育、科学技術イノベーション、スポーツ、文化芸術の振興、Bその他にわたる11項目。このうち私立学校に関わりの深いものを挙げると―。

 一つ目が、学校法人への個人寄附に係る税額控除の要件の見直し(所得税)。これは個人が学校法人等に寄附した場合、一定要件を満たす学校法人では所得税に関して税額控除の適用を受けられる。その一定の要件とは寄附金収入金額が経常収入金額の20%以上、または3千円以上の寄附者数が年平均100人以上というもの。しかし小規模の学校法人ではそうした要件をクリアするのは難しい。そのため、寄附実績に関する要件(PTS要件)の見直しを求めた。文科省ではこの要望を前年度の税制改正で既に提出、その結果「総合的に検討し、早期に具体的な結論を得る」と整理されていた。PTS要件が撤廃されれば、寄附者数がさらに増えることになる。

 二つ目は、この税額控除制度に関しては、国立大学法人はまだ導入されていないため、今回の税制改正要望では、学校法人等と同様に税額控除制度の導入を求めている。

 三つ目は、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置(金融庁との共同要望、贈与税)について制度の恒久化、非課税対象範囲の拡大、手続きの簡素化、直系尊属(祖父母等)以外から贈与を受けた場合も贈与税の非課税の対象とすることを要望した。

 この教育資金の一括贈与は祖父母等が孫等に対して教育費として一括贈与した資金(金融機関に預ける、限度額1500万円)に関して、贈与税の非課税措置が受けられるもので、世代間の資金の移動を促す効果が期待されている。そのため平成27年12月末日までとされている同措置の恒久化、非課税となる教育費の範囲の拡大(現状では通学定期代や留学の際の渡航費用は認められない)、口座開設手続きの簡素化、直系尊属(祖父母等)以外から贈与を受けた場合にも贈与税を非課税とすることを要望している。叔父や伯母、篤志家からの一括贈与も対象になれば、裕福な家系の子供以外でもこうした恩恵を受けることができるようになる。

 この教育費の一括贈与に関しては、既に5千億円を超える信託が集まるなど大きな広がりを見せている。
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