こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2014年9月23日号二ュース >> VIEW

記事2014年9月23日 2318号 (1面) 
中央教育審議会の 審議動向
多面的・総合的に評価
中教審・高大接続特別部会 各大学の入学者選抜の在り方議論

達成度テストを導入

個別の大学の入学者選抜は「主体性・多様性・協働性」で評価




 中央教育審議会の高大接続特別部会(安西祐一郎部会長=独立行政法人日本学術振興会理事長)は、9月17日、文部科学省内で第19回会議を開き、同省が新たに提示した「高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革の必要性・背景、課題」をまとめた文書等について審議した。今後の大学入学者選抜では「知識・技能」「知識・技能の活用力」「主体性・多様性・協働性」の3要素の評価が重要とし、受験生を多面的・総合的に評価する総合型選抜への転換を促している。




 この日の部会では文部科学省から、A4判7枚の「高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革の必要性・背景、課題」と、A4判1枚の「新たな大学入学者選抜への転換〜点からプロセスへ」と題する文書が提示された。

 このうち後者は、現在の各大学の入学者選抜を「点での選抜」と表し、今後については、入学志願者の多様な背景と主体性を重視する、各大学の大学入学者選抜方法と新設の達成度テストが連携するなどした、「プロセスとしての選抜」の重要性を強調している。

 また、前者の一体的改革の必要性や課題等をまとめた文書では、小・中学校で行われている「生きる力」「確かな学力」の取り組みが高校や大学に引き継がれず、高度化されていないとし、大学教育の目標については、主体性・多様性・協働性の向上、それを支える知識・技能の活用力の向上、さらにそれを支える知識・技能の向上の3点に置くことが適当と指摘。

 また、高校教育の目標については、主体性・多様性・協働性を身に付けることによる社会性・市民性の涵養、知識・技能の活用力の確保と向上、知識・技能の確保と向上の3点に置くことが適当としている。

 特に選抜性の強い大学(難関大学)の入学者選抜は「知識・技能」および「知識・技能の活用力」の評価に偏っているとし、そのため、いわゆる進学校の進路指導で「主体性・多様性・協働性」の要素が抜け落ちているとしている。そうしたことから、個別大学の入学者選抜については、「主体性・多様性・協働性」により行うことが必要と指摘。その受験生が当該大学で学ぼうとするのはなぜか、受験生が持つ知識・技能および活用力をどのように活かすのかなどについて、面接、集団討論、達成度テスト発展レベルの成績評価、高校の調査書、高校までの活動報告等を基に適切に評価することが必要としている。その達成度テスト(発展レベル)に関しては、広範な難易度を用意する方針。また、一部の大学では3要素のどの評価も機能していないことが見受けられるとして、大学のアドミッション・ポリシーにおいて面接、集団討論、達成度テスト、高校の調査書、受験生の活動報告等、具体的な評価方法と比重、要求するレベルを明示するよう求めている。こうした提案に委員からは、前回、国立大学関係者が強く反発した個別大学での学力試験の是非に関して、「達成度テストは選抜性の高い大学で十分な選抜力があるのか」といった意見が聞かれたが、全体としては、こうした改革の方向性を容認する空気で、安西部会長は、「学力を担保した上で、(大学関係者は)高校生の努力を評価してほしい」と語った。また入学者選抜ではプロセスを重視した公平性、透明性が重要との意見も聞かれた。



記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞