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記事2014年7月13日 2312号 (1面) 
文科省会議 高校における遠隔授業の在り方検討
過疎地以外にも広い活用視野に

 文部科学省の「高等学校における遠隔教育の在り方に関する検討会議」(座長=赤堀侃司・白〓(※)大学教育学部長・教授)が7月4日、都内で初会合を開いた。

 現在、通信制以外の高校では遠隔授業は原則として認められていない。しかし、少子化や過疎化の進行で離島や山間部では教員の確保が困難となっていること、一方でICT(情報通信技術)が発達したことなどから、正規授業化に向けた検討をすることとなり、同検討会議が設けられた。「IT利活用の裾野拡大のための規制制度改革の集中アクションプラン」(平成25年12月IT総合戦略本部決定)や、中央教育審議会高等学校教育部会の審議まとめ(平成26年6月)も遠隔授業の必要を指摘しており、それらも踏まえて検討を行う。過疎地域での実施を議論の中心とするが、広く高校教育全般における遠隔授業の在り方も視野に入れる。年内に報告書をまとめる予定。

 北海道の礼文島にある道立礼文高校は研究開発指定校として遠隔授業を実践している。教室にテレビ会議システムを置いて、札幌市などの高校にいる教員が一部の授業を行う、というもの。委員の一人でその取り組みに携わる村田尋如・北海道有朋高等学校校長は「遠隔での対面授業としては基本的なもの。そのマニュアル化と、その上でICTがどう活用できるかの二つの方向で研究を進めている」と述べた。

 初会合の今回は特に議題を設けず、委員がそれぞれの意見を述べた。「遠隔教育には限界がある。例えば英語のヒアリングで聞き取れなかった場合にフォローが困難だ」「先生たちが、対面でないと授業ではないという固定観念に捉われており、意識を変える必要がある」「ICTをどう活用するかではなく、日本の高校教育が教室から離れていいのかを議論したい」「必要なのは全日制と同じ授業の再現ではなく、授業の再構築だ」などの意見が出た。




※〓は、「鴎」の異体字、ただし、「区」が「區」。
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