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記事2014年7月13日 2312号 (1面) 
小中一貫教育学校(仮称)制度化
教育再生実行会議が第5次提言
9年間の教育課程区分を弾力化
教育財源確保では 国民に理解訴え

 安倍晋三総理が開催する教育再生実行会議(座長=鎌田薫・早稲田大学総長)は7月3日、第5次提言「今後の学制等の在り方について」を取りまとめ、公表した。少子・高齢化、グローバル化への対応など、さまざまな課題に直面するわが国は、今や存立基盤である人材の質と量を将来にわたり充実・確保していけるかどうかの岐路に立っているとの観点から、必要となる学制改革等、具体的には5歳児の就学前教育の義務教育化の検討、小学校と中学校の一貫教育学校(仮称)の制度化、小中学校9年間の中で教育課程区分の弾力化、高校の早期卒業の制度化、複数の学校種で指導可能な教科ごとの教員免許状の創設等を提言したもの。




 第5次提言の本文は全体で10ページ。

 内容は、@子供の発達に応じた教育の充実、さまざまな挑戦を可能とする制度の柔軟化など、新しい時代にふさわしい学制を構築するA教員免許制度を改革するとともに、社会から尊敬され学び続ける質の高い教師を確保するため、養成や採用、研修等の在り方を見直すB一人一人の豊かな人生と将来にわたって成長し続ける社会を実現するため、教育を「未来への先行投資」として重視し、世代を超えて全ての人たちで子供・若者を支える―の3部構成。

 このうち学制に関しては、▽幼児教育の質の向上のため、3〜5歳児の幼児教育について無償化を段階的に推進。うち5歳児の就学前教育については設置主体等の多様性も踏まえ、より柔軟な新たな枠組みによる義務教育化を検討する▽幼稚園と小学校、小学校と中学校の連携が一層推進されるよう、教育内容等を見直し、教員交流や相互乗り入れ授業等を推進、特に小学校における英語や理科等で専科指導の推進を図る▽小中一貫教育学校については設置を促進するため、国、地方公共団体は教職員配置や施設整備といった条件整備を進め、私立学校に対する支援を行う▽学校間連携等の成果等を検証した上で、新たな学校段階の区切りについては引き続き検討を行う▽専門高校への支援を充実し、更なるレベルアップを図る▽高等専門学校の新分野の展開に向けて現在の学科構成を見直す▽実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関を創設する▽高校の早期卒業を制度化する▽職業能力開発大学校や短期大学校における学修を大学の単位認定の対象とし、これらの学校から大学への編入学について道を開くよう検討する。また教員免許制度に関しては、▽複数学校種の免許状の取得を促進するための要件の見直し▽特別免許状や特別非常勤講師制度の活用等で社会経験や専門的知識が豊かな社会人等多様な人材の積極的な登用を図る▽教員として採用前後に学校現場で行う実習・研修を通じて適性を厳格に評価する仕組み(教師インターン制度、仮称)の導入を検討する。さらに教育投資に関しては、▽財源を確保するため資源配分の重点を高齢者から子供・若者への大胆な移行を図る。また▽在学中に係る費用を卒業後の収入に応じて負担する所得連動返還型奨学金を充実、▽税制を通じて民間資金の活用等を含め安定的な教育財源を確保する取り組みについて国民の理解を得つつ推進する―等を提言している。教育投資に関しては、具体的な財源確保方策等はほとんど示しておらず、今後、国民的な議論を深め、実行していくことに期待感を表明している。



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