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全私学新聞

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記事2014年6月23日 2310号 (1面) 
基盤経費の私学助成、更なる拡充を
全私学連合 私学振興協議会を開催
耐震化予算の充実など各団体会長が要望
消費税増税への対応も要請

 全私学連合(清家篤代表=慶應義塾長)は6月13日、東京都内のホテルで「私学振興協議会」を開催した。この協議会は全私学連合を構成する五つの私学団体の代表と自由民主党の文部科学(文部)大臣経験者や文部科学(文教)部会長経験者の衆参両院議員が今後の私学振興策等について協議する場として一年前に発足したもの。全私学連合の清家代表と元文部科学大臣の河村建夫・衆議院議員が共同代表を務めている。




 この中で清家共同代表は、平成26年度の文部科学省予算で久しぶりの私学助成の増額と耐震改築補助の創設が実現したことに感謝した上で、私学全体に共通する要望としては、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故で被災した私学と学生生徒等への継続支援、私立学校の基盤経費である私学助成の更なる拡充、私立学校施設の耐震改築・改修事業促進に対する支援の大幅な拡充等、消費税率の段階的な引き上げに伴う私立学校の負担軽減措置、私学に対する寄附税制(税額控除制度)における要件の撤廃を要請した。

 続いて河村共同代表は消費税増税や震災への対応など私学はいろいろな課題を抱えているため、来年度予算編成の中で税制を含む私学助成をどう織り込んでいくかが議員の頑張りどころ、とし、平成27年度予算に対して私学側の要望や私学が抱える問題点をしっかり認識し取り組んでいく考えを強調した。続けて丹羽秀樹・文部科学部会長があいさつし、文部科学大臣経験者等の先生方と協力して教育政策の更なる充実に努めていくと語った。その後、大学、短大、中学・高校、小学校、幼稚園の団体ごとに私学が抱える課題等を説明、改善を要請した。このうち大学に関しては日本私立大学団体連合会長として清家氏が、教育の質的転換のための基盤的経費の支援、地域の振興・活性化の促進、地域の知の拠点形成のための支援、学生の経済的負担軽減に向けた支援等を要請した。短期大学に関しては日本私立短期大学協会長の関口修・郡山女子大学短期大学部理事長・学長が短期大学が進めている地域振興に対する財政的な支援を要請、また短期大学制度の中に存在する短期大学が大きく発展するうえでの足かせとなっている学校教育法上の位置づけ、2年または3年とういう区切りは取り払い、それぞれの短期大学が身の丈に合った教育を地域の要望に従って展開できるよう要請した。

 中学・高校に関しては、日本私立中学高等学校連合会長の吉田晋・富士見丘中学高等学校長が、各都道府県間の私学助成の格差や財源措置を下回る状況を指摘した上で、国による私学助成財源措置(国庫補助・地方交付税)の拡充、各都道府県の上乗せ補助も含めて私立学校施設耐震化支援の拡充、私立高校等就学支援金の拡充等を要請した。小学校に関しては、日本私立小学校連合会長の矢崎昭盛・国本小学校長が福島県内の私立小学校の除染作業が終了したことに感謝した上で、消費税率引き上げに学校法人の負担増への対応、道徳教育は必要だが、その際、私学の独自性の確保への配慮を要請した。幼稚園関係では、全日本私立幼稚園連合会副会長の北條泰雅・みなと幼稚園理事長・園長が私立幼稚園を対象に新制度への移行調査が開始されたが、判断材料が少なく皆苦労して混乱していること、子ども子育て新制度ではシステム作りが先行したため、開店休業状態の中央教育審議会幼児教育部会を再開しての根本に立ち返って小学校入学前の幼児をどう育むかの議論の必要性を訴え、幼児教育の無償化については大変ありがたいことと語った。そうした私学側の要望に、出席の文部科学(文部)大臣経験者や自民党の文部科学(文教)部会長等からは、「消費税の1%を子育てや教育に使おうという国民的な運動が必要」、「耐震改築補助については今年度、私学に60億円の予算がついたが公立学校は27年度にほぼ耐震化が完了する。私学については来年度予算では三ケタに持っていきたい」、「大学については学生の単位認定、進級を厳しくして、勉強をしないと進級、卒業できないようにしてほしい」といった意見が出された。
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