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記事2014年6月13日 2309号 (1面) 
大阪市 公設民営学校提案明らかに
実施主体は非営利法人 ただし営利法人にも参入の機会求める

 大阪市教育委員会は5月27日に開いた会議で、国家戦略特区で実現を目指している公設民営学校提案をまとめた。同提案は文部科学省にも既に伝えられており、今後、同省内の西川京子副大臣を主査とする検討チームとさらに具体的な制度設計が協議される見通し。

 今回、大阪市が国家戦略特区制度を活用して設置を目指す公設民営学校は、国際バカロレア認定コース、理数・英語に特化した学科を併設した中高一貫教育校。

 実施主体は非営利性の法人(学校法人、一般社団法人、公益財団法人、一般財団法人等)が基本だが、同時に経費と費用が同額となる運営を前提に営利性の法人の参入にも道を開くことを求めている。委託の形態は、指定管理者制度または近似の制度を構想しており、委託する業務の範囲は、開校時間内が学校運営に関する全般的な業務(部活動、給食等を含む)を対象とし、開校時間外は事業者からの提案とによる。教育課程は関係法令、学習指導要領に基づいて編成実施し、検定教科書を使用、教育課程編成は教委が事前承認する。

 教職員配置・給与に関しては、通常の学校と同様の定数配置、学級編成基準(バカロレアでは別途追加)とし、事業者の裁量で委託料の範囲内で教職員追加等を可能とする。教職員人件費は大阪市の平均給与に想定される配置数を乗じた金額を基礎額とする。

 教職員の資格要件・服務に関しては、非公務員、教員免許保有が前提だが、バカロレアは特別免許状を視野に入れている。

 学校評価に関しては、文科省の実施する学力等調査、体力・運動能力等調査いずれかの結果が2年連続前年度を下回った場合は改善指示、翌年度さらに下回った場合は契約解除等の要件を加味することを検討する。そのほか撤退時のセーフティーネットに関しては、市内の教職員の人事異動や講師雇用による補(ほ)填(てん)などさまざまな方策を講じ、一定額以上の資本金または基本金がない事業者は保証金を必要とする。また営利法人が出資して非営利法人を設立して委託を受ける場合、営利法人による緊急避難的事業代行を認める―としている。

 こうした大阪市の提案に、文科省では通常の公立学校でもできる内容と見ており、公設民営学校として行う理由の明確化や指定管理者制度の活用、委託する業務の範囲、公立学校で校長・教職員の国籍を問わないことなどに課題があると考えている。また与党・自由民主党の文部科学部会は特別な学習ニーズや能力のある子供たちに対して既存の公立学校では対応しきれない柔軟な教育活動を実施することなどを前提とした公設民営学校の当初の性格付けとはかなり乖(かい)離(り)した内容とみており、引き続き公設民営学校の行方を注視していく方針。



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