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記事2014年4月3日 2302号 (2面) 
米国のACCの実情等聴取
日本の短大制度との比較も
大学分科会大学教育部会短大WG

 3月28日、中央教育審議会大学分科会大学教育部会の短期大学ワーキンググループ(座長=佐藤弘毅・目白大学・目白大学短期大学部学長)が第4回会合を開いた。短大の将来像のモデルとされるアメリカのコミュニティ・カレッジ(ACC)について、ジョイス津野田幸子・聖徳大学学長補佐と吉本圭一・九州大学教育学部長からのヒアリングを行った。

 ジョイス津野田学長補佐はかつてハワイ大学コミュニティ・カレッジの総長を務めており、ACCに詳しい。ACCは18歳以上か高卒以上の資格があれば無試験で入学可能という「オープン・ドア」を理念とするが、日本の短大は理念が明確でなく4年制大学や専門学校と差別化できていない、ACCは地方自治体の公的資金で成り立つが日本の短大は授業料収入が主な資金源となっている、などACCと日本の短大との比較で説明を進めた。特に修了で授与される学位について、ACCには多様な種類の「準学士号」があり、4年制大学への編入学を前提としたものもある、比べて日本の「短期大学士号」は位置付けが曖昧で、編入学もあまり実施されていないと指摘。ACCの背景には平等主義的な教育文化があり、それが日本で受け入れられるだろうか、との問題を提起した。その上で、日本版CCとしての使命は何かを自ら問い直すとともに、短大の将来を社会全体の問題と捉え、国の方針として何を目指すか明確にする必要がある、とした。

 吉本学部長はまず、短大卒業生による短大教育の評価について述べた。卒業後に身に付けた、とする能力の割合が多いことから、職業教育の側面では「インターンシップだけでなく、資格取得のための実習など教育課程に位置付けられた職業統合的な学習(WIL)に注目していく必要がある」とした。また、地域との関わりについては、地域総合科学科の取り組み等を検証しつつ、「ACCとは違う、しかし地域コミュニティと密接に関わり、つながる短期高等教育機関となる道はある」と結論付けた。
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