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記事2014年4月3日 2302号 (1面) 
自民党の大学ガバナンス勉強会が終了
3月25日と27日に 4人の大学人から意見聴取
権限と責任の一致など確認

 自由民主党の文部科学部会(丹羽秀樹部会長)と日本経済再生本部(高市早苗本部長)は、3月25日と27日に相次いで大学のガバナンス改革に関する合同勉強会を開催した。この勉強会は、国公私立大学関係者から学長の選任方法や学長がリーダーシップを発揮できる組織、教授会の役割等についてヒアリングを行い、意見交換したもの。3月27日の第4回をもって合同勉強会は終了、権限と責任の一致が必要だといったことなどの認識を共有した。合同勉強会の結果についてはその後あらためて文部科学部会に報告された。また文部科学省は学校教育法や国立大学法人法の一部改正案を今国会に提出する方針。

 3月25日の合同勉強会では鈴木典比古・国際教養大学理事長・学長と黒田壽二・金沢工業大学学園長・総長が、同27日の合同勉強会では佐々木雄太・名古屋経済大学長と上山隆大・慶應義塾大学総合政策学部教授が、それぞれ意見を発表した。

 このうち鈴木氏は、国際教養大学は秋田県が設立した公立大学法人で、知事が理事長を任命、理事長は学長を兼務すること、その理事長・学長は法人の重要事項を審議する大学経営会議と、教育研究に関する重要事項を審議する教育研究会議のそれぞれ議長を務めること、教授会の役割は学生の身分に関することなど限定的であると説明。教員の本務である教育と研究にいかに集中してもらうかが大学の競争力を高め、多くの大学で教授会が関与する教員人事、評価を大学経営会議の決定事項とした意義は大きいと強調した。

 また黒田氏は、教授会については決定権を持たない審議機関とし、諮問機関とすべきではないとした。諮問機関とした場合、学長の諮問事項のみに対応すればいいという風潮が生まれ、大学をよくするということにつながらないこと、また学長選考の在り方に関しては、私立大学に関しては多様性・多層性が堅持されてこそ、私学の主体的自律性が生まれ、時代の要請に即した特色ある教育研究が生まれるとし、画一化を招くような規制は避けるべきだと訴えた。

 一方、佐々木氏は、国公私立4大学での経験を基に、教授会に関しては、学長の諮問機関とすることには賛成しかねるとし、教授会の役割については教育と研究に関する重要事項とし、教授会の審議が経営に至っても構わない、行き過ぎたトップダウンは教職員の思考停止を招き、(改革は)先に進まないと指摘した。

 上山氏は、学長に資金的なバックボーンがなく、学長のやりたいことに教員がそっぽを向いているため、大学内のインセンティブがどう変わるかが重要で、学長が大学のガバナンスを仕切る資金的精神的援助、政治的パワーを与えてほしい、と訴えた。またわが国の大学には公的支援が極めて低いため公的支援の充実が必要で、そのためのガバナンスづくりが重要と指摘した。
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