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記事2014年4月3日 2302号 (1面) 
私立学校法の一部改正案が成立、4月2日に施行
解散命令の前に 必要な措置命令等可能に
参院文教科学委で附帯決議

 運営が法令等に違反している、著しく不適正な状況に陥っている学校法人に最終段階である解散命令を出す前段階として、所轄庁が必要な措置命令等を行える規定整備等を盛り込んだ「私立学校法の一部改正案」は、衆議院通過後、3月25日、参議院の文教科学委員会(丸山和也委員長)で文部科学大臣等に対する質疑、討論の末、賛成多数で可決された。この際、5項目からなる附帯決議が採択された。その中では第60条第1項に規定された「(学校法人の運営が)著しく適正を欠くと認めるとき」の適用事例を具体的に示し、学校法人等に周知徹底すること、学校法人がその自主性および公共性を十分に発揮できる管理・運営の在り方、特に内部チェック機能の強化、財務・会計関係書類の開示等について検討することなどを求めた。翌26日の参議院本会議で同法案の採決が行われ、賛成216、反対13の賛成多数で可決・成立した。施行・交付日は4月2日。

 今回の私立学校法の一部改正案に関して国会での質疑では複数の議員から第60条第1項の「(学校法人の運営が)著しく適正を欠くと認めるとき」の判断基準や想定する具体的事例等に関する質問が出された。

 これに対して文部科学省の常盤豊・高等教育局私学部長は、措置命令を行い得る具体的な事例として、(1)学校の運営に必要な資産不足により教育研究活動に支障が生じているとして、例えば、学校法人の所有する土地建物が競売で売却され、必要な校地・校舎の一部が保有されていない、あるいは教職員の賃金未払いが生じ、必要な教職員が不足しているなど(2)理事会で必要な意思決定ができず、教育研究活動への支障や学校法人の財産に重大な損害が生じているとして、例えば理事の地位をめぐる訴訟で、必要な予算編成や事業計画策定がなされず、教育研究活動に支障が生じている、理事が第三者の利益を図る目的で学校法人の財産を不当に流用し、学校法人の財産に重大な損害を与えているなどを想定していると答えた。

 また、措置命令の具体例に関しては、学校法人として必要な資産を有していない場合は、改善計画を作成し必要な財産を備えるよう命ずること、理事が未充足の場合、速やかに理事の選任を命ずること、財政状況の悪化で教育活動の継続が困難で解散も避けられない学校法人がなお学生募集を行おうとする場合には、新たな入学生募集停止を命ずることなどを想定していると答弁している。

 また議員からは、そもそも重大な問題が生じないよう学校法人制度そのものに踏み込んだ私立学校法の改正を求める声も上がった。これに対して下村博文文部科学大臣は、議員の指摘に、「その通りだと思う」とした上で、少子高齢化というハンディキャップを抱えるわが国の大学が質量ともに充実し、世界の中で伍(ご)していけるような人材育成のための大学あるいは私学の在り方等についても法整備を考えていく時期に来ている、と語っている。



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