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記事2014年4月23日 2304号 (1面) 
自民党司法制度調査会等が法曹人口で緊急提言
28年度までに 法曹の質低下させないよう
司法試験合格者数 1500人程度に

 自由民主党政務調査会の司法制度調査会・法曹養成制度小委員会合同会議は、4月9日、「法曹人口・司法試験合格者数に関する緊急提言」を取りまとめた。近年、法曹となるまでの時間的・経済的負担感の増大や、司法試験合格後の就職難等を背景として法曹希望者の減少が続き、有為な人材が法曹を目指さないという深刻な状況が指摘されており、当初5610人を数えた法科大学院入学者も毎年500人規模で減少、平成27年度には2300人を下回る見込みであることなどから、法曹養成制度の改善には一刻の猶予もない、社会、特に法曹を目指す若者に、法曹人口とりわけ司法試験合格者数に限定してでも直ちにメッセージを発信すべきだとして、緊急提言をまとめたもの。

 緊急提言では、法科大学院の修了者が平成25年度に2990人(暫定値)、26年度に2500人となり、27年度には2100人を割り込むと予測されることから、概ね5割程度で推移している累積合格率(ある年度の法科大学院修了者のうち受験期間内における合格者の割合)を考え合わせると、司法試験合格者数は年々減少、予備試験の合格者数(25年度は120人)を考慮しても、司法試験合格者数を現状の2000人程度で維持することは、法曹の質を低下させる可能性が高いと指摘。力強い司法を築くため一旦体質を強化すべく、まずは28年度までに司法試験合格者数については1500人程度を目指すこと、その際、法科大学院に在学中の学生への影響についても考慮する必要があると提言。また、法科大学院については、法曹の質を担保するという観点から整理統廃合を速やかに進める必要があり、優秀な者には学部段階の途中で法科大学院既修コースに入学する道を拓くなど、法科大学院と大学教育が一体となった抜本的な改革の検討を進めるべきだなどと提言している。文部科学省の調べによると、法学既修者の司法試験合格率は平成23年度以降上昇傾向にあるが、法学未修者が全体の合格率を引き下げる要因となっている。自民党文部科学部会ではこうした問題に新たに勉強会を立ち上げる方針。
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