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記事2014年3月13日 2300号 (1面) 
高校教育改革論議 一応終結
「審議のまとめ」案をとりまとめ
達成度テスト基 礎レベル実施へ
「骨格」めぐりなお多様な意見

 中央教育審議会初等中等教育分科会の高等学校教育部会(部会長=小川正人・放送大学教養学部教授)は3月7日、文部科学省内で第27回会合を開き、同部会としての「審議のまとめ」(案)を大筋でとりまとめた。平成23年11月に始まった同部会の高校教育改革論議はようやく一区切りがつく形となったが、政府の教育再生実行会議が提案した達成度テスト(基礎レベル)(仮称)の実施方法や性質など骨格については、この日の会議でもなお委員からさまざまな意見が出されるなど、方向性が固まったとは言い難い状況だ。(3月7日時点での達成度テスト(基礎レベル)の骨格2面に掲載)




初等中等教育分科会高校教育部会




 同部会は、今後、3月7日の部会で出された意見を「審議のまとめ」(案)に反映し(文言の修正は部会長と事務局である文科省に一任)、パブリックコメント、関係団体からの意見聴取をした後、再度部会を開き、それら意見への対応を検討する。

 その後、達成度テスト(発展レベル)を検討している中教審の高大接続特別部会(部会長=安西祐一郎・独立行政法人日本学術振興会理事長)と検討内容の擦り合わせを行い、再び部会を開いた後、夏前までに「審議のまとめ」を策定する予定にしている。

 この日の部会は、冒頭、小川部会長の、「今回で審議のまとめ案をとりまとめたい」との発言で始まった。その後、文部科学省から、前回までの「審議のまとめ」(素案)に、前回部会での委員の意見や、達成度テスト(基礎レベル)に関する検討内容を組み込んで作成した「審議のまとめ」(案)の説明が行われた。前回と比べ大きく変わった点は、一部の高校に限っていた学び直しの推進をすべての学科・課程に広げることや、グローバル人材の育成が求められていることの記述の追加、高等学校卒業程度認定試験と達成度テスト(基礎レベル)の統合の検討を盛り込んだことなど。また「達成度テスト(基礎レベル)」の骨格については、国語、数学など6教科の基礎的・基本的な知識・技能だけではなく、知識・技能の活用力、思考力等を測る問題を含める(その問題は学習の達成度を測るものとし、選抜的な性質のものとはしない)。また複数の教科を融合した教科融合型問題を含めることも検討―とさまざま性質の問題を含む内容としている。

 委員からテストの性質については、「教科にとらわれず、OECD(経済協力開発機構)の国際成人力調査のように基礎的な総合力的能力を測るべきだ」「マークシート方式では限界がある。記述式をメーンにした方がいい」「思考力を測るものを中心にした方がいい」などの意見が出された。

 また、達成度テスト(基礎レベル)の骨格では、現行の高等学校卒業程度認定試験と統合する方向を含めて検討することが盛り込まれているが、委員からは、「(学習の達成度を測ることと卒業程度を認定する)両方に使えるテストにしない方がいい。高校の卒業認定は校長が責任を持たないと制度的に危険性がある」といった意見や、「高認試験では何点以上とると卒業と認めるのか」といった高認試験の現状を尋ねる意見が出された。

 高認試験の合格点について文科省は、「合格点は非公表」と回答、委員が驚く場面も見られた。

 またテストの教科・科目は選択も可能としている点について、委員からは、「コア(高校において全ての生徒に身に付けさせるべきもの)なのだから選択科目が出ているのはおかしい」との意見や、「ほぼ悉(しっ)皆(かい)で、年に複数回実施し、結果もフィードバックするというが文部科学省は責任をもって実施できるのか」といった意見、「異なった問題で(同じように)達成度を測れるのか」「テスト結果の公表の仕方によっては高校の序列化を生む」といった意見が聞かれた。
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