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記事2014年2月3日 2296号 (1面) 
自民党日本経済再生本部教育再生実行本部が私大理事等から意見聴取
北城・ICU理事長らが教授会の役割明確化など要請
文科省に法令改正等を促す

 自由民主党の日本経済再生本部(高市早苗本部長)と教育再生実行本部(遠藤利明本部長)は、1月28日、東京・永田町の党本部内で合同会議を開き、北城恪太郎・国際基督教大学(ICU)理事長(日本アイ・ビー・エム株式会社相談役)ら企業経営者出身の7人の私立大学理事長等から大学のガバナンス改革についての意見を聴取した。

 この日、意見を述べたのは、北城氏のほか、青本健作・明治学院理事長(元日本輸出入銀行副総裁)、糸魚川順・立教学院理事長(元日本興業銀行常務)、氏家純一・東京女子大学理事長(野村ホールディングス株式会社常任顧問)、佃和夫・成蹊学園理事長(三菱重工業株式会社相談役)、渡邉正太郎・早稲田大学監事(元花王株式会社副社長)、北山禎介・国立大学法人評価委員会委員長(三井住友銀行取締役会長)。

 冒頭、塩崎恭久・日本経済再生本部長代行、松野博一・教育再生実行本部長代理があいさつ。その後、北城氏が大学のガバナンス改革案を提案、その他の私大理事長等も大学の実情等を説明した。

 この中で北城氏は、本来学長や理事会に最終決定権がある事項について直接責任を負う立場にない教授会が意思決定機関として運営されている大学が多く、学長の意向を反映した迅速な改革が困難になっているとして、学校教育法93条を改正して教授会は教育・研究に関する諮問機関であることを明確化すること、その上で、文部科学省令等で@学位授与A学生の身分に関する審査B教育課程の編成C教員の教育研究業績等の審査については教授会に諮問した結果を十分考慮した上で、学長が最終決定を行うことなどを提案した。

 大学のガバナンス改革については、文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会大学分科会組織運営部会が昨年12月24日に公表した「審議のまとめ」の中で同じ趣旨で所要の法令改正を提言しており、私大理事長等の意見表明は、同省にそうした法改正の早期実施を促す狙いがある。

 また北城氏は、国立大学の学長選考に関して、学長選考会議の委員の数は経営協議会に所属する学外委員を過半数とすること、私立大学に関しては、私立学校法に「過半数が学外理事で構成される学長選考会議が学長候補者を推薦し、理事会において学長を任命する」との規定を新たに設けること、また国公私立大学の学長選考に際して省令等で教職員の意向投票は行わないものとする方針を示すことなどを提案した。そのほかの私大理事長等からは私大は多様なため「一定のガバナンスモデルに収(しゅう)斂(れん)することは良くない」「ガバナンスと改革成果を評価すべきだ」といった意見が聞かれた。

 一方、出席の国会議員からは、リーダーの暴走を懸念する意見や、また「企業と同様のガバナンスでは大学で研究の自由闊(かっ)達(たつ)さが失われる」「教授会から権限を外した方が研究に専念できる」「93条の改正は大賛成。責任と権限の一致が大切」といった意見が聞かれた。

 この問題はさらに党内で議論される予定。



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