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記事2014年12月13日 2327号 (2面) 
第6回 実践的な職業教育行う 新たな高等教育機関 制度化会議
制度設計論議が本格化

 「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議」の第6回会合が平成26年12月11日、都内で開かれ、新たな高等教育機関の基本的な在り方に関して、@企業等との連携による実践的な職業教育としての質の確保等、A高等教育機関としての教育の質の確保について議論した。この回から新しい高等教育機関の制度設計に関する本格的な議論が始まった。会議には河村潤子・生涯学習政策局長、吉田大輔・高等教育局長も出席する中、「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関のイメージ(案)」が事務局(文科省)から提示された。同イメージ案は制度設計のイメージ、制度設計の方向性のポイント等を簡潔にまとめたもの。そのうち制度設計のイメージとしては、▽職業実践的な教育を行う高等教育機関としてふさわしい要件とする(教育課程、教育方法、教員数等)▽教育内容・教員については実践的な職業教育を行うものとして構成し、産業界のニーズへの対応を重視する(博士号の保有等より実践的専門性を重視し、実務家教員を積極的に登用等)▽質保証システムを確立し、修了者の社会的・国民的な評価や、円滑な就職・進学等を確保(第三者評価、学位又は称号の付与、大学への接続を可能とする)―の三つを掲載している。また、制度設計の方向性のポイントとしては、「教育の質の適否は、その成果を実際の現場で評価する企業や実務家等によって判断されるべき」などとしている。

 こうした資料提示に委員からは実践的な職業教育を行う高等教育機関でも教養教育の必要性が複数の委員から指摘され、寺田盛紀・名古屋大学大学院教授は、米国では職業教育でも約三分の一は教養教育を行い、一方ドイツでは全く教養教育をしないことを紹介した上で、日本はその中間を選択するよう提案。

 教員については、寺田教授は「実務家教員の割合については、科目の性格で決めるべきだ」とし、専門学校関係者からは、「博士課程卒や修士課程卒では職業教育に対応できない。流動性ある仕組みが必要で、企業から(講師として)来て、企業に戻れる仕組みが必要だ」といった意見、また企業関係者からは「(新たな高等教育機関が)やりたいようにやればいい。学生と企業の評価でいい。学校が潰れたときは別の仕組みを考えればいい」といった意見も聞かれた。

 設置認可については、「高等教育機関として国の審査を経るべきで、設置基準を弾力化すると、質が厳しく評価される」、「都道府県は高等教育のノウハウを持っていない。国が認可すべきだ」との意見、また「学位が同じ名称なら、同じ質保証でなければならない」といった意見が出された。一方、専門学校関係者からは「学位と同格の仕組みがあればそれでいい」との意見が聞かれた。
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