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記事2014年12月13日 2326号 (1面) 
英語資格・検定活用で連絡協発足
テストの有効性等具体的指針案策定
活用事例など掲載ポータルサイトを新設

 文部科学省の「英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会」が発足し、12月2日、同省内で初会合を開いた。学校等の英語教育や大学等入学者選抜で英語の資格・検定試験の活用方法等を協議、学校関係者と検定試験等実施機関との間で調整することなどが目的。この日は学校教育等に活用が想定される英語検定試験等の実施団体関係者が出席して各検定試験等の特徴等を説明、学校関係者との意見交換が行われた。




 これから先の英語教育の改善・充実方策については9月26日、文部科学省の「英語教育の在り方に関する有識者会議」(座長=吉田研作・上智大学教授)が報告をまとめており、その中で高校・大学の英語力の評価及び入学者選抜の改善に向けて、「入学者選抜における英語力の測定において、4技能のコミュニケーション能力を適切に評価すること、4技能を測定する資格・検定試験の活用促進、学校、専門家、資格試験団体等が参画する協議会を設置して必要な情報発信、指針づくりの検討が必要」と指摘していた。英語の4技能とは、「聞く」「話す」「読む」「書く」。

 また、同省の中央教育審議会で検討が進められている平成32年度から実施の「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)の英語に関しては、民間の資格・検定試験の開発・活用も見据えた検討を行う必要性が指摘されている。

 こうした背景の中で、今回の連絡協議会が発足したもので、同協議会の委員は、大学や高校といった学校関係者、資格・検定試験実施機関の関係者、学識関係者、英語教育の専門家など30人。そのうち多田幸雄・株式会社双日総合研究所代表取締役社長・長崎大学経済学部客員教授が座長に就任している。

 今後、連絡協議会は、@4技能試験を行う試験団体から学校や学生・教員・生徒等に向け試験に関する一覧性のある情報、大学や高校、中学校における活用事例などを、近く新設するポータルサイト等を通じて随時発信していく。また、A英語の資格・検定試験の活用促進に関する行動指針(仮称)を策定する。具体的には各資格・検定試験の、学習指導要領の求める4技能の能力との親和性、測定可能性、多様な生徒・学生の能力への適合性、受験のしやすさ(受験料、地域バランスに配慮した実施体制、受験回数等)、適正・公正な試験実施体制(試験監督、情報管理等)、国際的な通用性などを検討する。来年3月末までを目途に検討し成果を得る方針。

 このうち資格・検定試験に関するウェブサイトに関しては試験団体が中心となって、制作が進められており、来年1月にはオープンする予定。

 この中では、学校教育に活用可能な九つの資格・検定試験(別掲)が紹介され、学校での活用事例が掲載される予定。

 同協議会に関しては、これら検討事項を協議会の中に作業部会を設けて専門的に検討していくことにしており、来年1月以降、2回の作業部会を開いて検討、3月に第2回連絡協議会を開いて作業部会の検討結果を取りまとめる予定。

 その後、連絡協議会では、B英語の資格・検定試験間の換算方法等の検証等(精度の高い得点換算表作成)、C「大学入学希望者学力評価テスト/高等学校基礎学力テスト」の検討との連携、D大学及び高校入学者選抜における学力検査等の在り方の改善(学習指導要領に沿った英語の4技能を総合的に評価する学力検査等を奨励するため、協議会において現状の学力検査等における英語問題の在り方の調査・分析等を行い、得られた結果が大学、高校等において活用されるよう広く情報発信等を行う)―を実施する。

 これらB、C、Dに関しては平成29年度末までに検討する予定。

 こうした方向性に関して12月2日の第1回連絡協議会では、各資格・検定試験の概要等聞き取りの後、各委員から意見が出された。委員からは公平性という観点から受験料や受験機会の地域的バランスを懸念する意見、英語教育そのものの必然性が弱いため英語以外の科目を英語で教える必要性を訴える意見、背景となる文化を知らないとできない問題があることを指摘する意見、各資格・検定試験の受験層が異なる中で、共通の母集団を見つけて得点換算表を作ることは難しく、試験実施団体の協力が不可欠だとする意見などが指摘された。





高校や大学等で活用が想定されている英語に関する資格・検定試験





実用英語技能検定


TOEFL iBT


TOEFL Junior Comprehensive


TOEIC/TOEIC SW


IELTS


Cambridge English


GTEC CBT


GTEC for STUDENTS


TEAP





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