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記事2014年11月3日 2322号 (1面) 
中教審・高大接続特別部会 答申案をほぼ取りまとめ
12月に文科相に答申予定 改革のスケジュールも明らかに

 中央教育審議会の高大接続特別部会(安西祐一郎部会長=独立行政法人日本学術振興会理事長)は、10月24日、文部科学省内で第21回会議を開き、前回の「取りまとめに向けた要点の整理」に関する検討結果等を基に、同省等が大幅に修正、加筆して作成した「答申案」が説明され、委員による討議が行われた。委員による討議では、大学での個別選抜で多様性を認める観点から従来型の学力試験も認めるべきだとの意見が国立大学関係者から聞かれたが、討議の結果、最終的には答申案が基本的に了承され、委員の意見に沿った修文については安西部会長に一任された。

 また、11月中に開かれる中教審総会に答申案として提出、意見を聞き、その後、必要ならば再度部会を開催、12月に開催予定の中教審総会で答申を大臣に提出する―とのスケジュールが説明され、了承された。

 今回の高校、大学入学者選抜、大学の並行改革は、いかに多くの大学が新テストに参加し、個別選抜で答申案に沿って多元的な評価ができるかがポイントだが、文部科学省は、大学入学者選抜実施要項、あるいは財政面によるインセンティブ付与、情報公開等で改革を誘導、実効性を高めていく方針を説明したが、委員からは、大学入学者選抜実施要項に大学を拘束するようなことを書くことは好ましくないといった意見や大学設置基準や認証評価でしっかりと改革を求めていくべきだとの意見が聞かれ、安西部会長もそうした考えを支持した。また高校教育・大学教育・大学入学者選抜の改革のスケジュール案も明らかにされた(2面に掲載)。委員からはこのほか、「この改革が実現したら最高。大学教育が変われば、大学入試が変わり、高校教育も変わる。(新テストを始めて受けるであろう)小学生を迷子にしたくない。新テストの成績は段階表示なのに、英語で活用する外部試験(TOEFLなど)は一点刻みだが、その関係はどうなるのか」、「答申案は評価したい。日本の高校生は議論する力が弱い。OECD調査でも日本の子どもは記述式テスト、分析が弱い。創造の力を育てるところにインセンティブで全面的に支援してほしい」、「小学生、中学生のことも考えたスケジュールを示してほしい」、「特に理系では(個別入試で)知識・技能を前提にしないと大学教育は難しい」、「高校基礎学力テストの問題については広範な難易度が設定される。大学の選抜に活用される危惧を持っている」、「答申の精神は重要。大学に受け入れてもらうにはかなり問題がある。大学入学者選抜実施要項に大学を拘束するようなことを書くことは難しい」、「選抜実施要項に盛り込むより設置基準、認証評価に盛り込む方が本道」、「高校基礎学力テストは大学の入学者選抜に使用しないとあるが、以前の達成度テスト基礎レベルでは推薦入試に使用できた。選抜性の低い大学の入学者選抜はどうなるのか」といった意見が出された。



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