こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2014年11月23日号二ュース >> VIEW

記事2014年11月23日 2324号 (1面) 
自民党文科大臣経験者らに私学振興等要請
「私学振興協議会」を開催
全私学連合 耐震化促進の支援強化
激甚法の補助率引き上げも要望

 全私学連合を組織する幼稚園から大学までの私学団体の会長等と与党・自由民主党の文部科学(文部)大臣経験者、文部科学(文教)部会長経験者等が私学振興等について話し合う「私学振興協議会」が11月13日、都内のホテルで開かれた。今年6月に次ぐ2回目の開催で、今回は平成27年度政府予算編成を前に、現在、私立学校が抱えている課題について説明、改善等に向け支援を要請した。その後、意見交換が行われた。(私学団体要望詳細、3面に)




 この日、「私学振興協議会」に出席したのは、私学側から、全私学連合代表の清家篤・日本私立大学団体連合会長、大沼淳・日本私立大学団体連合会副会長、関口修・日本私立短期大学協会長、吉田晋・日本私立中学高等学校連合会長、大谷彰良・日本私立小学校連合会副会長、北條泰雅・全日本私立幼稚園連合会副会長の6氏。

 一方、国会議員側からは、文部科学(文部)大臣経験者の保利耕輔、中曽根弘文、大島理森、河村建夫、小坂憲次、渡海紀三朗、塩谷立、鳩山邦夫(※代理出席)、町村信孝(同)の各氏と、文部科学(文教)部会長経験者の遠藤利明、松野博一、馳浩、義家弘介、水落敏栄、丹羽秀樹の各氏、現職の冨岡勉・文部科学部会長が出席した。同協議会は、清家氏と河村氏が共同代表を務めている。

 冒頭の挨拶に続いて、各私学団体会長等が現在直面している課題等を説明、文部科学省の概算要求の満額実現等を要請したが、このうち清家・全私学連合代表は私学に共通する課題として税制改正問題を取り上げ、特に個人が学校法人に寄附した場合、税額控除が受けられる法人となるための要件の撤廃と、教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置の拡充・延長の実現を要請。また大学に関して、大学教育の質的転換と基盤整備のための公財政支出の大幅拡充、私立大学等の健全な発達と経営基盤強化のための基盤助成の拡充、学生の生命を守るための耐震化促進に対する支援の拡充、地方の私立大学への特段の配慮を要請した。関口・日短協会長は、地域振興に資する短期大学制度の改正、地方で活動する短大への財政的支援、大学、短大、高専で既に高度な職業教育が行われているため、屋上屋を重ねるような新しい高等教育機関創設には反対の意向を表明した。

 また吉田・中高連会長は、多くの経費を要するグローバル化に対応した教育等のために、助成の柱である私立高校等の経常費助成費等に対する補助の拡充強化、私立高校等に対する耐震化促進で地方自治体の上乗せ分を含めた補助の拡充強化、ICT補助金の拡充強化、さらに私立小・中学校生徒等への修学支援の実現を要望した。

 大谷・日私小連副会長は、入学時の寄附金に関して税控除の実現を要請した。北條・全日私幼連副会長は、教育を消費税財源の対象にしてほしいと要望した。

 大沼・私大団体連副会長は、人口減少社会の中で私立学校がどのような役割を果たしていくかなどについて今まで以上に与党と連携して進めていく考えを明らかにした。

 最後に全私学連合の小出秀文・事務局長が激甚災害の際に、私立学校についても公立と遜色ない補助の実現を要望した。

 その後、議員と私学関係者との懇談では、議員側から、「今日、私学が大きな役割を果たしていることを考えると、憲法の中に私学助成についてもう少しはっきりした規定を設けるべきだ」(保利耕輔氏)、「国民全体で大学を育てるという国民運動が必要だ」(大島理森氏)、「憲法の国民投票法の対象が18歳からになった。中高レベルでもしっかり意識することが大事」(中曽根弘文氏)、「高校の就学支援金の更なる見直しに関しては、年収の区切りをさらに下げてまずは私学の低所得層に乗っけていく方向性で良いのかどうか。高等教育についてはOECD並みに地方で進学率を増やしていくべきだ。資格制度と連携を強め、実社会に出てメリットを感じることが大事で、今後の展開にアイデアを頂きたい」(松野博一氏)、「(都会で学んだ人を)できるだけ地方に返す視点を持たないといけない。地方の大学は東京などにサテライトを設け学生を集めようとしているが、できることなら(都会の大学が)地方にサテライトを設けてそこに学生を集めるという議論も行われている」(河村建夫氏)、といった意見が出された。



記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞