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記事2014年11月13日 2323号 (1面) 
教育再生実行会議 3つの分科会の議論始まる
教育投資や地方創生等めぐり意見聴取
起業教育の実情など報告も

 安倍晋三総理が開催する「教育再生実行会議」(座長=鎌田薫・早稲田大学総長)は9月17日の第25回会合以降、第2ステージに入り、新たに設けた三つの分科会で審議が開始された。11月12日現在、各分科会とも1、2回の会合を開いており、10月28日には本会議に各分科会の審議状況が報告されている。10月中に開かれた各分科会の初会合については議事概要が公表されており、現時点では幅広い議論が行われている。各分科会は来年前半にはそれぞれ提言を取りまとめる予定だ。




 このうち教育立国実現のための教育財源など教育行財政の在り方について審議している第3分科会(鎌田薫主査)は、10月15日の初会合では文部科学省からわが国の教育投資、教育費をめぐる状況などを聴取、討議が行われたが、その中では、「日本は、1960年代にはGNP(国民総生産)に比して教育費割合も高かったが、第2臨調以降、GDP(国内総生産)の伸びに教育費の伸びが追いつかなかったことが、現状につながっている」「義務教育費国庫負担の割合も、全国知事会等で議論の上、3分の1に引き下げられたが、地方への十分な財政措置がなされておらず、今では失敗だったと思っている自治体が多いのではないか」「幼児教育と高等教育に係る教育費負担の軽減が必要であるが、子供の幼児期はもう一人子供を持つかどうかを考える時期であり、負担軽減の必要性が高い」といった、教育財源の拡大の必要性が指摘されたほか、教育費の負担軽減ではスウェーデンを例に挙げ、バウチャー制度や機関補助と個人補助の適切な組み合わせの検討の必要性も指摘されている。

 生涯現役・全員参加型社会の実現、地方創生のための教育の在り方を検討する第2分科会(主査=貝ノP滋・政策研究大学院大学客員教授)は10月6日に初会合を、同21日に第2回会合を開き、それぞれ2人の委員から意見聴取をし、自由討議を行っている。その中では生涯現役・全員参加型社会に向けては、「高齢者に肩書きや役職を付与して社会参画を促し、エンカレッジする取り組みは有益」「子育て中の女性が学べるよう、日本の大学にも保育所を整備すべきだ」といった意見が出された。また地方創生のための教育に関しては、「できるだけ地方に大学生が残るよう、地方国立大学は学部教育、旧帝大等は大学院教育に特化し、旧制高校と旧帝大の関係へ改編すべきだ」「大学のキャンパスや研究施設の地方移転の経費に対する支援を創設すべきだ」「地域の商品開発等の取り組みは大学だけではなく、中学校や高校との連携も有益で、こうした取り組みを通して、生徒が地域や郷土に対する愛着を持つようになる」といった意見が聞かれた。

 これからの時代に求められる能力を飛躍的に高めるための教育の革新を審議している第1分科会(佃和夫・三菱重工業株式会社相談役)は10月24日に初会合を開き、2人の委員が意見発表、討議が行われた。その中では起業教育の実情や学習指導要領上での起業教育の明示の必要性等が報告されたほか、中等教育までで基礎力固めの必要性、能力別学習、生徒同士の学び合い、教員のファシリテータ能力の育成の重要性が指摘された。
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