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記事2014年10月23日 2321号 (2面) 
文科省の専門家による検討委員会
生活リズムの乱れ不登校の原因に
 子どもの生活習慣の影響、検討、啓発へ

文部科学省の「中高生を中心とした子供の生活習慣が心身へ与える影響等に関する検討委員会」(座長=鈴木みゆき・和洋女子大学教授)は10月20日、同省内で第2回会合を開いた。同委員会は睡眠不足や朝食の欠食、スマートフォン等との接触時間の増加といった子どもの生活習慣の問題について、啓発の在り方を検討している。この日は何時に寝て何時に起きたかを毎日記録する「睡眠ログ」を活用した不登校予防の取り組みについて発表があった。

 まず委員の一人、三池輝久・熊本大学名誉教授が「不登校の児童生徒の多くが倦(けん)怠(たい)感・疲労感を感じているが、それは生活リズムの乱れで体内時計が狂ったため」と説明。ひいては、生活リズムの乱れが不登校の原因だとした。きっかけが他にあった場合も、朝起きなくなる〜生活リズムが乱れて夜眠れなくなる〜昼間に倦怠感・疲労感を感じるようになる〜さらに生活リズムが乱れるという悪循環で不登校が長期化するという。三池委員はこれを脳生理学上の研究成果等を交えて説明。「不登校は心の問題だと思われているが、それだけでは解決できない」とし、適切な対応が必要だと訴えた。

 続いて三戸町教育委員会が、「睡眠ログ」活用による不登校予防事業を具体的に説明した。これは三池委員の研究に基づく取り組み。睡眠ログの用紙には1日24時間を表す、30分刻みの目盛り付きの長い横棒があり、そのうち眠った時間を塗りつぶす。翌日も平行する横棒に同様の記録を行う。これを14日間連続で行うというもの。睡眠時間の不足や、日ごとの入眠時間・起床時間のばらつきなどの生活リズムの乱れがひと目で分かる。同教育員会は「睡眠ログを記録することで児童生徒に意識の変化が生まれた」と説明。事業開始後に不登校生徒数が減少し、全国平均を下回ったという結果を示した。

 会合ではこの発表等を踏まえて、新たに作成する「睡眠習慣チェックシート」や普及啓発資料の内容等が討議された。



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