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記事2014年10月23日 2321号 (1面) 
私学助成関係予算の拡充を.12月2日、私学振興全国大会開催
文科省平成27年度概算要求 経常費補助1075億8700万円
耐震化補助、前年度の約7倍要求




 私立学校経営や保護者の授業料等負担に大きく影響する国の平成27年度私学助成関係予算については、今年8月末、文部科学省から財務省に概算要求が提出された。9月以降、年末にかけて両省間の事務折衝等が行われているが、日本私立中学高等学校連合会(吉田晋会長=富士見丘中学高校理事長・校長)、日本私立小学校連合会(矢崎昭盛会長=国本小学校長)、日本私立小学校中学校高等学校保護者会連合会(中村良彦会長)は、12月2日、東京・千代田区の日比谷公会堂に約2千人の保護者、私学関係者らを集め、「私学振興全国大会」を開催し、当日、出席する国会議員等に私学振興や保護者の教育費負担軽減等を強く訴える方針だ。




 この「私学振興全国大会」は、毎年、私学3団体が国の次年度政府予算案編成が最終段階を迎える直前に開催、出席する与党国会議員等に、私立高等学校等への私学助成の核となる文部科学省予算「私立高等学校等経常費助成費等補助」の拡充や私立高校等の施設設備整備等に対する補助の拡充、保護者の教育費負担軽減等を要請している大会。

 このうち私立高等学校等経常費助成費等補助は各都道府県が私立高校等に対して支出している私学経常費助成の核となる財源。都道府県は、この文科省予算に地方交付税による財源措置(使途に限定はない)等を加えた原資を基に、私立高校等に経常費助成を行っている。文科省の予算は地方交付税による財源措置にも影響することから、都道府県の私学助成を左右する重要な要素となっている。

 文部科学省が8月末に財務省に提出した平成27年度概算要求によると、「私立高等学校等経常費助成費等補助」については前年度比3・4%(35億4700万円)増の1075億8700万円を要求している。同予算については平成26年度に過去最高の1040億400万円となった。文科省では27年度についてはさらに増額を獲得する方針で、私立高校等に関して、外国語教育の強化や教育相談体制の整備など教育の質の向上を図る学校に支援を拡充する方針を打ち出している。

 また平成27年度私学助成関係概算要求の大きな特徴の一つが、「私立学校施設の耐震化等防災機能強化事業」で、平成26年度予算額の約7倍に当たる511億円を要求、別途復興特別会計で113億円の予算も要求されている。

 私立学校施設の耐震化率は平成25年4月1日現在、小学校で93・4%、中学校で89・2%、高校で75・5%という状況。5年ほど前までは校舎等の耐震化率は私立高校等が公立学校を上回っていたが、その後、国公立学校は予算を集中的に投入、公立高校等は平成27年度にも耐震化が完了するといわれている。

 私立学校も耐震化に取り組んでいるが、都道府県によって耐震化の支援策に大きな開きがあり、私立高校等に対する耐震改築補助も今年度初めて実現したばかり。それ以前は改修補助と融資で耐震化が進められていた。また補助金額も限られていたため、私立高校等にとって厳しい環境となっていた。

 そうした状況や大規模地震の発生が想定されている中で文科省では私立学校施設の耐震化を今後数年のうちに急ピッチで進める方針で、同省では国とともに支援の充実が求められている都道府県に対して同省は関連予算の拡充を要請している。

 今回の要求額が満額実現し、平成27年度概算要求事業が完了した場合、私立高校等施設の耐震化率の全国平均は約87%に上昇する見込み。

 さらに授業料軽減を目的とした「高校等就学支援金」は前年度比微減の3835億円、非課税世帯の教育費負担の軽減を目的とした「高校生等奨学給付金」に関しては、第1子の給付額3万7400円〜3万8千円を第2子以降と同額の12万6千円〜14万7200円に引き上げるため、前年度比87億円増の116億円を要求している。

 独立行政法人日本学生支援機構が実施している大学等での修学のための奨学金(国の奨学金)に関しては、平成27年度、無利子奨学金枠を増やすなどして奨学金事業を充実する。また、国立大学や私立大学が実施する授業料減免事業への財政支援を充実する。

 このほか日本私立中学高等学校連合会では、義務教育段階である私立中学生についても何らかの教育費の軽減措置が必要と考えており、平成28年度以降の政府予算での実現に向け具体的要望を検討していく考え。公立の中高一貫教育校の中学生については、通常の地域の中学校に席が用意されていながら、一貫校でも(教育費は)無償となっており、私立中学生に関する就学支援措置の検討が求められている。



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