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記事2014年10月13日 2320号 (3面) 
関東地区私学教育研究集会 校長研修会栃木大会 開催
グローバル人材の育成等で協議
文科省の永山私学行政課長講演

 第48回関東地区私学教育研究集会校長研修会栃木大会が10月2、3の両日、宇都宮市の宇都宮東武ホテルグランデ等で開催された。主催は一般財団法人私学研修福祉会、協力は一般財団法人日本私学教育研究所、実施は栃木県私立中学高等学校連合会、後援は日本私立中学高等学校連合会。関東地区の私立中学高校長ら約80人が参加した。

 大会開会式では実施県を代表して船田元・栃木県私中高連会長(衆議院議員)があいさつ、現在国家戦略特区で創設が検討されている公設民営学校(※公立学校の運営を民間に委託する、経費は税金で負担)の先行きや公立学校の全国での生徒募集を危惧していると語り、出席者に「それぞれ私学が力を合わせ建学の精神を教育の中で生かしていこう」と呼び掛けた。

 また日私中高連の吉田晋会長も鹿児島県が50億円を超える県費を投じて全寮制中高一貫男子校を設置、全国から生徒募集することや、大阪市が設置を目指している公設民営学校で本格的にネーティブによる国際バカロレアの教育を行おうとしたら、生徒1人200万円を超える授業料負担の計算になることを挙げて、税金の観点からも問題だと指摘した。その上で私学は周りに流されず、地道にわれわれの教育をすること、公私間格差の是正については、私学が協力して取り組む大切さを強調した。

 開会式には栃木県の福田富一知事も出席、私学助成額が全国的に見て高くはないことに触れ、助成の在り方については県庁内で議論を深めたいと語った。

 その後、文部科学省の永山裕二・高等教育局私学部私学行政課長が「私学行政の現状と課題」と題して、平成27年度概算要求や同税制改正要望の概要、教育再生実行会議や中央教育審議会の動向等を説明した。その中では教育再生実行会議がフリースクールやインターナショナルスクールの位置付け・就学義務や公費負担の在り方の検討を求めたこと、また職業教育に特化した新たな高等教育機関の創設に関しては、10月7日に有識者会議が文科省に発足、年度内に審議結果をまとめ、その後、中教審で結論を得られれば、見直しを行う方向性を明らかにした。また高校専攻科(2年制)修了者に関して教育再生実行会議の第5次提言が高等教育としての質保証の仕組みを確保した上で大学への編入学の途を開くよう求めたことから、現在、中教審で審議を進めており、結論が得られれば、来年の通常国会に関連する改正法案を提出する方針を説明した。

 この後、埼玉県、千葉県、神奈川県、群馬県、茨城県、栃木県の私立中高協会の会長等が助言者となって研究協議が行われた。テーマは「グローバル人材の育成」と「改正労働契約法」。このうちグローバル教育の現状や目指す方向性等に関しては、留学コースのクラス全員が1年間留学する、米国人大学生13人が参加して生徒の自律性を促すプログラムを行ったなど生徒にさまざまなプログラムを提示、選択させているといった報告がされたほか、英語教育に関しては、欧米系のきれいな発音にこだわらず世界に通じる英語を目指すべきであり、発信力、協働力、コミュニケーション力などの必要性が指摘された。また、そもそも国語力が重要で、異文化理解には日本の文化をしっかり学ぶことが重要との意見が複数の校長から聞かれた。



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