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記事2014年10月13日 2320号 (1面) 
高等学校基礎学力テスト 大学入学希望者学力評価テスト 導入
中教審高大接続特別部会が要点の整理案
新テストの具体的内容 
答申後1年で 平成31、32年度から段階的実施


中央教育審議会高大接続特別部会(安西祐一郎部会長=独立行政法人日本学術振興会理事長)は10月10日、文部科学省内で第20回会議を開き、事務局提案の、答申案に向けた要点の整理案を審議、基本的方向性について委員から大きな異論はなく、大学入学者選抜の抜本的改革等の具体化が早ければ年内にも動きだす公算となった。





 この「答申案取りまとめに向けた要点の整理案」は、これまでの議論を中心にまとめられたもので、全体で18ページ。「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の導入など高校教育の質の確保・向上、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の導入を始めとする今後目指すべき大学入学者選抜改革の全体像、各大学の個別選抜改革、大学教育の質的転換が柱で、高校教育、大学入学者選抜、大学教育の一体的改革実施が特徴。※二つの新テストの概要は別掲の通り。これら二つの新テストは、これまで「達成度テスト(基礎レベル)」、「達成度テスト(発展レベル)」と呼ばれていたもので、第20回会議を境に名称変更となった。


 今後の目指すべき改革の方向性については、小・中学校で実践され、国内外の学力調査でも努力の成果が表れている「生きる力」、「確かな学力」を高校教育、大学教育に引き継ぎ、発展させることが重要で、「生きる力」については、「豊かな人間性」「健康・体力」「確かな学力」として捉え直し、そのうち「確かな学力」について高校教育では、「課題発見・解決に向け、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ力(主体性・多様性・協働性)」、その基盤となる「知識・技能の活用力」、さらにその基礎となる「知識・技能」を育成すること、また大学においてはそれをさらに発展・向上させ、総合した学力を鍛錬すること、としている。


 その上で、現行の大学入試センター試験については廃止、「知識・技能の活用力」を中心に評価する「大学入学希望者学力評価テスト」を導入、各大学の個別選抜に関しては、新テストの成績に加え、小論文、面接、集団討論、プレゼンテーション、調査書、活動報告書、大学入学希望理由書・学修計画書、資格・検定試験等の成績、各種大会等での活動や顕彰の記録等により総合的・多面的に評価すべきとしている。


 また高校教育に関しては、高校で身に付けた基礎学力を評価する「高等学校基礎学力テスト」を導入する。参加は任意だが、できる限り学校単位で多くの生徒に参加してほしいとしている。


 こうした改革の鍵≠ニなる二つのテストについては、同部会の答申が出されて1年後を目途に新テストの具体的内容の結論を得るとし、「高等学校基礎学力テスト」については平成31年度から、「大学入学希望者学力評価テスト」については32年度からそれぞれ段階的に実施する方針。


 新テストの実施主体については大学入試センターとなる見通し。ただし法改正が必要となる。


 現行のセンター試験についても「知識・技能の活用力」を中心としたものにしていくことが必要と指摘している。


 「要点の整理案」について、委員からは、「個別大学への要求(総合的・多面的評価)のハードルを高めたが、各大学は応えられるのか」「改革には賛同」「基本的な流れは良い」「大学や企業が新テストの結果を見るとなれば、高校は皆参加する」「多面的評価のコスト、人材をどうするのか」「高校の調査書の電子化も検討してほしい」「高等学校卒業程度認定試験との統合の検討については理解できない」といった意見が出された。こうした意見に文科省では、新テストについては、あくまで強制はせず、国としてインセンティブを用意し、活用を広げていく方針で、大学のアドミッション・オフィスの充実についても支援していくとしている。


 またいわゆる二つの新テストとも簡単なレベルから高度なレベルまでを用意する方針で、両テストが重なる部分が生じる場合もあると説明した。いわゆる「高認試験」と「高等学校基礎学力テスト」の統合については省内になお賛否両論があるため、引き続き検討していく考えを明らかにした。安西部会長は「ペーパーテストだけの入試は公平とは言えない。個人的には思い切った答申がよい」と語った。





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