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記事2014年1月13日 2294号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
短大の機能の充実策検討 佐藤・目白大短大部学長が座長
大学分科会大学教育部会短大WG

 平成25年12月25日、中央教育審議会の大学分科会大学教育部会に新たに設置された「短期大学ワーキンググループ」が文部科学省内で初会合を開いた。座長には佐藤弘毅・目白大学・目白大学短期大学部学長が選出された。今後は月1回のペースで会合を開き、第7期大学分科会の審議事項の一つである「短期大学の機能の充実」について、現状と課題を踏まえた具体的な議論を行う。設置期間は年度末までの予定だが、佐藤座長は年度を越えて議論を続ける可能性も示した。

 短大の学生数は平成5年の53万人をピークに年々減少し、25年には13万8千人。短大自体の数も8年の598校から減少の一途で25年は360校となった。そうした現況を確認しつつ、短大の機能と役割を議論していく。事務局が挙げた検討の視点は、短期性を生かした教育の在り方、企業や地域の人材ニーズへの対応、学士課程教育への接続、高等教育の機会均等を確保する役割、地域の生涯学習拠点としての役割、社会人の学び直し機能、教育の質保証、地域総合科学科の現状および在り方等。

 今回は論点整理に向けて、委員が各自の意見を述べた。「四年制大学と専門学校に挟まれて長所が知られていない」「どのような教育で、卒業後どうなれるかを見せられていないのでは」「社会人にも、仕事に関する資格が取れる専門学校の方が人気。短大での学び直しの意義は何か」「現状を把握するにはまず現役学生を見詰めることだ」「視野を広く持って、労働政策上の短大の位置付けも見るべき」「地方にはまだ短期高等教育の充実が必要とされている。地方行政を巻き込んだ振興策を考えるべきだ」等の多様な意見が出された。次回会合は1月30日の予定。







教職大学院の専任教員 ダブルカウント5年延長

学長のリーダーシップ 法改正更に検討へ




大学分科会




 中央教育審議会の大学分科会(分科会長=安西祐一郎 ・日本学術振興会理事長)は平成25年12月24日、文部科学省内で第116回会合を開いた。主な議題のうち、@教職大学院の専任教員の特例に関する省令改正と、A届出設置制度の改正については審議の上、議決。大学のガバナンス改革の推進、ジョイント・ディグリー(JD)制度導入については、部会等でのこれまでの審議を踏まえた議論を行った。

 教職大学院の専任教員が学部や修士課程等の教員を兼ねる「ダブルカウント」は平成25年度までの特例として認められてきたが、教職大学院新設を見込んで30年度までとなった。この日の会合では、「教員の資質能力向上に係る当面の改善方策の実施に向けた協力者会議」の報告書等を検討した上で審議し、改正に関わる事項を議決した。

 届出設置制度とは、学部等を設置する際、学位の分野が既存のものと変わらないなら届け出るだけで設置できる、というもの。現行制度に抜け穴があるため、「保健衛生学分野を分割する」「複合分野が明確なものは学際分野ではなく各分野の複合体と扱う」との改正が検討されている。これに関する事項を審議し、議決した。委員からは「保健衛生分野は3分割されるが、まだ大くくりな部分が残る。今後も検討されたい」等の意見が出た。

 最も議論が活発だったのは、大学のガバナンス改革の推進について。組織運営部会の審議まとめを元にした議論で、学長のリーダーシップの確立や教授会の役割の明確化といった全体の方向性に異論等はなかったが、ある委員が「学長が最終決定を行うことについて法令改正を行うべき、とあるが法の改正としないとインパクトに欠けるのでは」と発言。これに賛同する委員がいる一方、「インパクトが大きいと反発も強まり、逆に改革が進まなくなる」「大学の多様性を生かす方向を目指すべき」「学長は信用できるのかという根本の問題がある」等の反対意見も出た。後日、組織運営部会で再び審議した上で答申される予定。

 JDは日本の大学と海外の大学が連名で授与する学位。制度設計等について「大学のグローバル化に関するワーキング・グループ」の審議まとめを元に議論した。

 この他、法科大学院に対する公的支援見直しの強化、インターネット等で授業を行う大学に関する設置基準の改正、大学教員等任期法等の改正について報告があった。



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