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記事2014年1月13日 2294号 (1面) 
耐震改築補助 私学関係者の念願かなう
3年間の時限措置 初年度予算60億円




 私立学校の施設・設備等整備関係補助87億円のうち60億円が新規の「私立学校施設の耐震改築事業」。この事業は、巨大地震の発生が懸念される中で、私立学校施設の耐震化の一層の促進を図るもの。これまでは幼稚園を除いて耐震診断、及び耐震改修に対する補助しかなく、耐震性能が著しく低い建物や技術的に補強を行うことが困難な建物では耐震改築補助の創設が望まれていた。新設された耐震改築補助は、小学校、中学校、中等教育学校(前期課程、後期課程)、高校、特別支援学校(幼稚部、小学部、中学部、高等部)、高等専門学校、短期大学、大学が対象学校。新耐震設計基準の施行(昭和56年6月1日)以前に建築された校舎、屋内運動場、寄宿舎、図書館、食堂、福利厚生施設など、主に児童生徒、学生の教育研究活動等に資する建物(事務局棟、病院施設は対象外)であって、@耐震性能が著しく低い建物(Is値0・3未満)又はA技術的に補強を行うことが困難な建物(コンクリート強度が著しく低い、地盤が軟弱、極端に多くの補強材が必要など)が対象となる施設。補助率は小学校、中学校、中等教育学校、高校、特別支援学校が1/3以内。高専、短大、大学は1/2以内だが調整率がかかる。収容定員が8千人未満で避難所指定等がある場合は調整率1・0、収容定員8千人以上で避難所指定等がある場合は調整率0・8、避難所指定等がない場合は調整率0・7。避難所指定等とは、避難所、帰宅困難者受け入れ施設、そのほか災害対策に関して地方公共団体と連携協力している学校。補助対象経費及び単価は公立学校の改築制度の補助対象経費(建物工事費、既存建物取り壊し費、仮設建物費、実施設計費等)及び単価を適用。耐震診断については公的機関の評価を受けることを付加。この改築補助は平成26年度から28年度までの3年間の時限措置。文部科学省が昨年末公表した私立学校施設の耐震改修状況調査の結果によると、私立高校等の耐震化率は昨年4月1日現在、77・8%、同じく大学等は83・7%、平成25年度補正予算が執行された後でも80・7%、大学等は85・6%にとどまり、公立学校や国立大学の95・0%を大きく下回る見通し。そこで耐震改築補助等で耐震化を加速するもので、下村博文・文部科学大臣も昨年末、私立大学等に書簡を送り、早期の耐震化完了を要請、また、私立高校等を所管する都道府県知事にも書簡を送り、耐震化の早期完了を目指して一層積極的な政策展開を要請している。

 私立学校の施設・設備等整備関係補助87億円のうち耐震改築以外の27億円が大学等の研究装置や教育装置、エコキャンパス推進事業、高校等のIT教育設備整備推進事業などだが、本予算では大半が耐震改築に回されたため、平成25年度補正予算案により必要予算を確保している。昨年12月12日に閣議決定された政府の平成25年度補正予算案では、私立学校施設の耐震化推進事業(耐震改修、非構造部材の耐震対策、備蓄倉庫等防災安全機能強化)として小学校から大学までで30億円が、また私立学校の研究基盤強化のための施設・設備補助として153億円が、高校生修学支援基金積み増し分として198億円が計上されている(前号で一部既報)。



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