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記事2013年9月23日 2284号 (1面) 
世界の成長取り込み発展
戦略的留学生交流推進検討会が中間まとめ
工学や医療等が重点分野
ASEANや中央アジア等 留学生受け入れ、相手国を継続支援
文部科学省の戦略的な留学生交流の推進に関する検討会(木村孟主査=東京都教育委員会委員長)は8月22日「世界の成長を取り込むための外国人留学生の受け入れ戦略」(中間まとめ)を公表した。世界的に留学生獲得競争が激化する中で留学コーディネーターの配置や世界トップレベルの「頭脳」の獲得等を目指したもの。今後は、入国管理制度に係る課題等についても検討を進める。

 この検討会は今年3月、文部科学省が、四つの検討事項を掲げ設置したもので、設置期間は1年間。検討事項としたのは、@国費外国人留学生(大使館推薦、大学推進等)、留学生交流支援制度(短期受け入れ)として戦略的に採用すべき国・地域A外国政府派遣留学生の派遣状況を勘案しつつ、戦略的に受け入れる国・地域B留学生交流支援制度(短期派遣)として戦略的に採用すべき国・地域Cその他留学生戦略―の4点。
 今回の「中間まとめ」では、外国人留学生の受け入れが教育研究の向上、国家間の友好関係の強化に大きく貢献、また諸外国の成長をわが国に取り込み、わが国のさらなる発展につながるため、重点地域の設定など外国人留学生受け入れに係る戦略を策定する必要があることを指摘。
 具体的には、外国人留学生受け入れ施策の成果が特に期待できる分野として、@工学A医療B法学C農学を挙げており、また、わが国の発展に特に寄与すると考えられる重点地域については、@ASEANA中央アジアBインド等南西アジアCロシア及びCIS諸国DアフリカE中東F南米G中東欧H米国としている。このうち例えば工学に関しては電気、資源、エネルギー、建築、防災、環境保全など多岐にわたり諸外国との関係を発展させることができる分野と位置付けている。医療では、単なるインフラ整備に終わらない継続的な日本型支援という意味でも諸外国の医療発展に大きく貢献する大いに意義あること、としている。
 また、重点地域に関しては、例えばASEANで発展著しいインドネシアやベトナム、ミャンマー等では医療や法制度が未成熟で、深刻な電力不足、改善が必要な保健衛生状態等から必要な人材育成等が急務となっている、と指摘。その内ミャンマーでは大臣3人、ベトナムでは国会議員1人がわが国の留学経験者だと記している。
 こうした重点地域、重点分野で戦略を実現するためには、▽戦略的な外国人留学生の受け入れ▽国費留学生の拡充と戦略的な受け入れ枠の設定▽外国語で単位や学位が取得できる環境整備▽地域と連携した外国人留学生の生活支援▽わが国で学修した外国人留学生への対応▽帰国留学生会等を活用した企業との出会いの場の創出▽SNSを活用したオンラインコミュニティーの形成▽元外国人留学生による日本留学後のキャリアステップの紹介等―が重要と指摘している。


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