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記事2013年7月3日 2277号 (5面) 
21世紀型教育市場の創造
グローバル教育 イノベーション教育リベラルアーツを統合した人間教育
「21世紀型教育」を創る会
吉田会長 「課題解決能力を育成」
私学独自の授業実践例を発表

 第1回「21世紀型教育を創る会」(=21会、吉田晋会長=富士見丘中学高等学校理事長・校長)カンファレンスが5月31日、同校で開催され、「21世紀型教育」を実施するために、私立学校独自が行っている授業の実践例の発表等が行われた。「21世紀型教育」は、グローバル教育、イノベーション教育、リベラルアーツ(GIL=Global×Innovation×Liberal arts)を統合した人間教育を意味するもの。実践する授業は、@講義に対話を導入するPIL(Peer Instruction Lecture)型授業、A問題解決型のPBL(Project based Learning)の学びを内容とする。
 吉田会長はあいさつの中で、内向きで暗記中心の知識を詰め込む従来型の教育ではなく、課題解決能力を育成する21世紀型教育が必要だとした上で、「21世紀を担う子どもの未来を考えて設立した。課題を解決する思考力育成を全面展開し挑戦する私立学校が集まった。今後、『21会』の挑戦とその成果、展望を報告する21世紀型教育市場を創っていく」と21会の意義と使命を宣言した。続いて、大橋清貫氏(一般財団法人新時代教育研究所理事長)は「21会ビジョン」について講演。大橋氏はグローバル時代が到来したが、教育は既存の知識を覚える、20世紀型の一方通行の授業が行われていると指摘した上で、「ワン・ツー・ワンの教育が必要だ。中学校はグローバル社会で生き抜く力を身に付け、高校はその資質のある生徒を受け入れることだ。社会から支持される教育機関でなければならない」と述べた。また大島規男・富士見丘中学高校教頭は、同氏の実践している授業「21会型学び」をビデオで報告し、「教師の役割は生徒に問いを発することで、対話の方向性を示すことだ。授業ではムードづくりが大事だ」と語った。
 パネルディスカッションTでは、「思考力テスト×グローバル教育の挑戦」と題し、江川昭夫(佼成学園女子中高教頭)、本橋真紀子(聖学院中高数学科主任)、窪田敦(文化学園大学杉並中高英語科主任)の各氏がパネラーで、石川一郎氏(かえつ有明中高副校長)がコーディネーターを務めた。江川氏はPISA型入試の導入と意義、窪田氏は課題文を読み自分の考えを論述することで論理的、批判的、発見する力を育成すること、本橋氏は暗記ではなく発見させるテストの実践等について報告した。
 続いて、パネルディスカッションUでは、「21世紀型教育が未来を創る」と題して、渡辺眞人(共立女子中高校長)、平方邦行(工学院大学附属中高校長)、白鶯訓彦(富士見丘中高副教頭)の各氏がパネラーで、橋博(聖パウロ学園高校理事長・校長)がコーディネーターを務めた。渡辺氏は思考型テストが大事なこと、PIL型学びとPBLの学びを進めていく必要があること、白鶯氏はUAE大学との交流を通して授業でPBLの学びを目指している等を発表した。平方氏は「グローバル化は私学だからこそできる。PBL、PIL型学びを訓練しなければならない」と、橋氏は「わくわく感で楽しい学びだ」と述べた。
 また、石川副校長は「かえつ有明チャレンジ」の中で、「国際教養とは、『I think〜.Because〜.』と言えること、理屈がロジカルであることだ」とした上で、「サイエンス科授業の実践を通して、クリティカルシンキングを徹底的に行っている」とした。最後に中川弘・土浦日本大学中等教育学校長は「PBL、PIL型学びを目指す」と「21会」の信念を述べた。

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