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記事2013年7月23日 2279号 (2面) 
文部科学省協力者会議 
職業実践専門課程の創設提言
平成26年度から新課程を開始
教員の資質向上は引き続き検討

 文部科学省の専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議(座長=黒田壽二・金沢工業大学学園長・総長)は7月12日、東京・霞が関の同省内で第10回会合を開催し、これまでの検討を取りまとめた「『職業実践専門課程(仮称)』の創設について〜職業実践的な教育に特化した枠組みの趣旨をいかした先導的試行〜(報告)案」を承認した。今後、認定基準等に関する告示を整備し、先導的試行として、文部科学大臣が認定する「職業実践専門課程」を平成26年度からスタートさせる。
 同課程については、平成23年1月の中教審答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」を踏まえて、職業実践的な教育に特化した新たな枠組みとしての高等教育課程が同協力者会議で検討されてきた。
 ただ今回の取りまとめの「目的」欄には、23年1月答申で強調されていた「実務の卓越性」については書き込まれなかった。専修学校の多様性を踏まえると内容や判断基準等の共通理解が困難であるとしており、今後の検討に付された。
 認定基準は、@修業年限は2年以上、総授業時数は1700単位時間以上または62単位以上であること。
 A教育課程は、企業等と密接かつ組織的な連携体制を確保して、授業科目等の教育課程を編成(改善・工夫を含む)していること。その際、企業等が委員として参画する「教育課程編成委員会」を設置すること。
 B演習、実験、実習および実技については、企業等と密接かつ組織的な連携体制を確保して実施していること。ただ、演習等の授業の割合は、一律に定量的に決めるのは適当ではないとして、認定基準とはしない。
 C教員研修は、資質向上のために企業等との連携の下、組織的な研修機会を確保していること。研修の在り方は引き続き検討していく。教員資格については、一律の基準を設けることは困難であるとしているが、今後の運用や諸外国の制度等を踏まえつつ、引き続き検討していく。これについては、委員から、教職としての指導性を検討していくべきだとの意見があった。
 D学校評価については、自己評価に加え、学校関係者評価を実施し公表していること。また情報提供については、教育活動その他の学校運営の状況に関する情報を企業等の学校関係者へ提供していること。
 E名称は職業実践専門課程となる見込み。また修了資格・称号等については、現時点では独自の称号を付与することは行わない。なお、EUやイギリスの学術資格と職業資格の共通枠組み制度や、アジア地域でも職業教育に必要な知識・技能等の可視化および認証等の質保証に向けた取り組みが進められていることから、今後、国際的通用性を確保できるよう、称号および教育の在り方について検討していくとしている。
 このほか、今回の会議に、構造改革特区で専修学校を設置する場合に生徒数の下限(40人以上)を緩和し40人未満でも設置可能とする提案が、検討に付された。これについては、事務局からこれまでの経緯および抽出した15都道府県担当部署へのアンケート調査結果が説明報告された。委員の意見はおおむね、運営の安定性、継続性の観点から生徒数の下限を緩和すべきではないとした。
 職業実践専門課程(仮称)の今後のスケジュールについて、清木孝悦・生涯学習政策局長が「本年8、9月に告示を定め、来年度から職業実践専門課程がスタートできるよう作業を進めたい。また、教員の質向上について引き続き検討が必要との意見もあり、この会において引き続き協力をお願いしたい」と話した。
 最後に黒田座長が、「職業教育が高等教育としてアカデミックなものに相並んでいける。大学の中で職業実践的なものを学びたいときは新しい枠組みに行って勉強する、また学問的に学びたいときは大学に行って学ぶ。そういうことができるシステムの一段階としてこれが土台になるといい。検証しながら改善を加えていく作業が必要だ。優れたシステムづくりをしたい」と述べた。


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