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記事2013年6月13日 2275号 (1面) 
教育改革動向を視野に入れ今後の進路を研究・協議
日私教研 私学経営研修会を広島で開催
グローバル化対応など課題に 地域との信頼関係も重要
 一般財団法人日本私学教育研究所(吉田晋理事長、中川武夫所長)は、六月六・七の二日間、広島市内のホテル等を会場に「私学経営研修会」を開催した。研修会では、全国から参加した私立中学高校の理事長・校長等百六十一人が、急ピッチで進む教育改革の最新情勢、私学への影響等について学んだ上で、企業経営者の講演や私学人らによるパネルディスカッション、テーマ別グループ討議、私立学校視察等を通じて今後、各私学の歩むべき方向性を探求した。

 今年の研修会の研究のねらいは、「変革の時代を拓く私立学校―社会と教育の潮流を読み、私学の進路を探る―」。開会式には湯ア英彦・広島県知事が出席、私学での新しい日本を切り拓く若者の育成に大きな期待感を表明、また松井一實・広島市長は、就学人口が減少する中で公私立学校が同じ土俵を大前提にして特色を分かち合い、補完関係をどう構築するかを協議し、経営の在り方、教育の在り方を考え、未来を背負う若者を育ててほしいと語った。
 開会式後には、日本私立中学高等学校連合会の吉田晋会長(日私教研理事長)が「政権交代後の教育政策と私学情勢」と題して講演を行い、教育再生や学校施設の耐震化では国公立校と同等の財政支援の必要性や、唐突に出てきた大学入試センター試験廃止報道などを取り上げ、十分実証されない中で様々な課題が浮上していることなどを報告、また、文部科学省が国際バカロレア(IB)のディプロマ資格(世界的に通用する大学入学資格)を得られるプログラムの科目の一部を日本語でも実施可能とする「日本語DP」を開発・導入し、IB認定校等を現在の十六校から平成三十年までに二百校に拡大する計画で、今年度、その開発経費として五千八百万円の予算を計上したこと、IB認定を目指す学校の協議会が既に立ち上がり、早ければ今年の十月には最初の候補校申請が行われる見通しだが、私立学校にほとんど周知されていない、とし、改めて文科省に私学全体への周知を求め、財政負担についても要望していきたい、と語った。
 研究のねらいをテーマに掲げたパネル討議では、田原俊典・修道中学高校長(広島県)、鈴木康之・水戸女子高校理事長・校長(茨城県)、山本千曲・株式会社山豊代表取締役の三人がパネリストになり、野原明・文化学園大学杉並中学高校特別顧問・名誉校長がコーディネーターを務めた。この中では、勉強にしろスポーツにしろ限界体験が生徒のモチベーションにつながること、自分・相手・社会の三方よしの精神が大切なこと、現実に学校差があるにもかかわらず、同じ改革をしても何もできないこと、グローバル化の社会は競争と選抜の世界で人間存在の土台を揺るがし、個人化が進むため、人間のつながりの深さを具現化していく必要性などが指摘された。二日目のグループ討議では、私立学校は、口コミや地域の信頼感を大切にし、地域の抱える課題に取り組むことで受験生の専願率が上昇したこと、社会のニーズを後追いせず、新しい価値観を提示、日本、地域を引っ張っていく気概が大事なこと、また、IBのDPを取得しても経済的理由から海外に出られないケースがあるものの、今後はIB教育を視野に入れていく必要性などが指摘された。


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