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記事2013年5月3日 2272号 (1面) 
下村文科相 地方教育行政の在り方で諮問
中教審総会 教育長を責任者に 法制化など審議
教育振興基本計画で答申提出
 中央教育審議会(三村明夫会長=新日鐵住金株式会社取締役相談役)は四月二十五日、文部科学省内で第八十五回総会を開き、政府の第二期教育振興基本計画(平成二十五―二十九年度)に関する答申を取りまとめた。その席で三村会長から下村博文・文科大臣に手渡された。また、総会では下村大臣から、「今後の地方教育行政の在り方」に関する諮問が行われ、教育再生実行会議が四月十五日にまとめた教育委員会制度等の見直しに関する「提言」の法制化等について年内をめどに検討していくことになった。

 総会では、教育振興基本計画に関する答申案を同省の合田隆史・生涯学習政策局長が説明した。
 この第二期教育振興基本計画は政府の今後十年を見通して、当面五年間に実施すべき教育施策や到達目標等を示したもの。今回の計画では、教育投資に関して前期より一歩踏み込んだ記述としたのが特徴で、将来的に恒久財源を確保し、OECD諸国並みの公財政支出を目指し、当面の第二期計画に必要な予算については財源を措置し、教育投資を確保していく必要性を提言したのが特徴。私学振興についても記述されているが、具体的な到達目標等は設けられていない。(詳細は4月23日号)
 その後、委員から「中身の濃いものに仕上がっている。実行が大事」「初等中等教育分科会の要望をかなり反映してもらった」「実効性のある計画になっている。財源(の確保)とともに国民への発信が大事」といった意見が出された。最終的に委員全員で答申案を了承、大臣への提出に至った。
 答申を受けた下村大臣は、「早急に政府の第二期教育振興基本計画の策定に取り組み、関連施策の推進に全力で取り組んでいきたい」と語った。
 引き続いて下村大臣から今後の地方教育行政の在り方について諮問が行われ、諮問理由が説明された。政府の教育再生実行会議が四月十五日に提言した教育委員会制度の見直しの方向性に沿って、今後の地方教育行政の在り方について審議し、今年末をめどに答申をまとめてほしいというもの。中教審ではしばらく休止していた教育制度分科会を中心に議論を進める。
 具体的には、@教育委員会制度の在り方A教育行政における国、都道府県、市町村の役割分担とそれぞれの関係の在り方B学校と教育行政、保護者・地域住民との関係の在り方について審議する。その中でも現行の教育委員会制度では、非常勤の委員の合議制の執行機関である教育委員会、その代表者である教育委員長、事務の統括責任者である教育長があり、責任の所在が不明確で、また審議等の形骸化、危機管理能力不足、選挙で選ばれ民意を代表する知事や市長等が教育行政に責任を果たせるような体制の構築の必要性、政治的中立の確保の重要性などが指摘されてきた。こうした点を踏まえ、教育長を地方教育行政の責任者とすること、首長による教育長の任命・罷免では議会の同意を必要とし、議会が教育長の資質・能力をチェックすること、政治的中立性等を確保するため、特に教育長が教育の基本方針や教育内容に関する事項を決定する際には、教育委員会で審議する制度上の措置を講じることなどを提言した。同省では来年の通常国会に改正関連法案を提出する考え。その後、委員による自由討議が行われ、橋本昌・茨城県知事は教育長の任命・罷免で議会の承認を必要とすることで、現在、教育長の任命で議会の同意が得られず教育長不在の自治体が教育行政に支障をきたしている状況があることなどを指摘した。


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