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記事2013年4月23日 2270号 (1面) 
教育再生実行会議が教委制度見直しで提言をまとめる
教育長が地方教育行政の責任者
教委の審議が必要>教育の基本方針等の決定では
詳細な制度設計は中教審で検討

 政府の教育再生実行会議(座長=鎌田薫・早稲田大学総長)は四月十五日、現行の教育委員会制度の改革案を示した「第二次提言」をまとめ、安倍晋三総理に提出した。いじめ問題等への対応などを巡ってしばしば地方教育行政の責任の不明確さなどが指摘されてきたことから、首長が任命・罷免を行う教育長が地方教育行政の責任者となることなどを提言したもの。今後、文部科学省の中央教育審議会が詳細な制度改革案を検討、同省は来年の通常国会に関連改正法案を提出する予定。

 現行の教育委員会制度には、合議制の執行機関である「教育委員会」、その代表者である「教育委員長」、事務の統括者である「教育長」が存在し、責任の所在が不明確で、しかも執行機関でありながら教育委員会は非常勤の委員の合議体であり、審議等の形骸化、危機管理能力の不足といった問題が指摘されていた。
 また、教育行政に関しては、教育内容や教職員人事等で政治的中立性が求められていることや、選挙で選ばれ、民意を代表する首長が教育行政に責任を果たせるような体制を構築する必要性も指摘されている。
 こうした観点を踏まえ、同会議では教育長が地方公共団体の責任者として教育事務を行うこと、首長による教育長の任命・罷免では議会の同意を必要とし、議会が教育長の資質・能力をチェックすること、政治的中立性等を確保するため、特に教育長が教育の基本方針や教育内容に関する事項を決定する際には、教育委員会で審議する制度上の措置を講じること、教育長が地方公共団体の教育に十分責任を果たせるよう、指導主事等の専門職の配置充実など教育行政部局の体制を強化すること、教育長には強い使命感と自己研さん力を求め、「学び続ける教育長」の育成に国が一定の責任を果たすことなどを提言している。そのほか、国、都道府県、市町村の役割の明確化と権限の見直しにも言及しており、学習指導要領や学級編制の標準等では教育のナショナル・スタンダードを維持しつつ、各地方公共団体がそれぞれ創意工夫によって、特色ある教育を十分展開できるようにすること、場合により国が地方公共団体(の教育行政)に対して是正や改善の指示を行えるようにすること、県費負担教職員の人事権を市町村に委譲することを検討すること、国においては我が国にふさわしい地方教育行政や学校教育の第三者評価の仕組みについても検討することなどを求めている。
 教育委員会制度の見直しに関しては、四月二十五日に開かれる中央教育審議会総会で新たに諮問される見通し。すでに四月十八日に開かれた中教審の教育振興基本計画部会で教育再生実行会議の第二次提言の概要が報告され、委員による意見交換も行われた。
 この中では、首長が任命した教育長が議会で承認されず、異例の教育長不在の状況が生じている自治体の事例も報告され、「教育長の任命に議会の同意が必要なのか」といった疑問が出されたほか、教育委員会事務局の職員については、教員出身者の比率が高い県や低い県があるため、事務職員の在り方も課題、と指摘する意見も聞かれた。
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