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記事2013年2月3日 2262号 (1面) 
中教審・教員養成部会開く
教職課程の質保証焦点に 課程認定委が改革案を提案
中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会(部会長=安彦忠彦・神奈川大学特別招(しょう)聘(へい)教授)は、一月三十日、文部科学省内で第六十六回会合を開き、平成二十四年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定について答申をまとめ、同省の布村幸彦・初等中等教育局長に提出した。二十四年度課程認定大学等の数は百十三で前年度と比べ二十七減少した。とりわけ大学院での教職課程認定申請が大きく減少したことが影響した。全体の認定課程数は四百十五。
 この日の教員養成部会は第六期中教審で最終の部会。特に焦点となったのは教職課程の質保証。初めに宮ア英憲委員(東洋大学文学部教授)が昨年五月から今年一月にかけて同部会として実施した教職課程認定大学五十一機関を対象とした実地視察の結果を報告した。全体としては法令等の基準を満たし、教職課程を履修する学生に対して熱心に指導が行われている様子がうかがわれた、としたが、法令等に定める内容を適切に扱っていない事例など課題を指摘された大学も少なくないことも報告。具体的には学生の教育実習校の選定に当たって、依然として実習先の確保を全く行わず、学生の母校実習を原則としている大学や、蔵書が古いものばかりで、教育の最新事情等に関する図書がない大学が見られたことなどを指摘した。
 こうした報告に同部会委員からは、「学生が実習先を自己開拓している例もある」「実習校に指導も評価も任せっぱなし。大学が教育実習を十分責任をもって指導しているといえるのか」などの意見が聞かれた後、報告が了承された。
 続いて、課程認定委員会の横須賀薫委員長(十文字学園女子大学長)が、同委員会で協議してまとめた課程認定審査の現状と課題に関する文書を発表した。この文書は、教員養成について理解がなく、単に資格が取得できるという観点からのみ教職課程を置こうとする大学が増え、結果として申請に向けた準備が極めて不十分となっていることなどへの危機感から、現状と課題を整理、改善策を提案したもの。具体的には、▽教職課程認定審査プロセスの明確化▽審査回数は二回をめどとする▽必要に応じて取り下げ勧告を積極的に活用する▽「含めることが必要な事項」の趣旨・目的、扱うべき内容等について整理し、各課程認定大学等に明確に示していく▽教員審査では基本的に審査省略を廃止する、など教職課程審査について一層の厳格化を提案した。
 この提案に、委員からは基本的に了承するとの意見が多く聞かれたが、その中では「大学改革が進む中で課程認定制度を維持できるのか。現実の状況と乖(かい)離(り)していないか」といった意見も出された。横須賀委員長自身「担当教員の専門と免許との相当性を維持できるのかということはある」と語っている。このほか教職科目に限らず大学が授業について組織としてチェック、整理していく必要性を指摘する意見、大学が与える教員免許の数と実際教員になる数には大きな開きがあることを問題視する意見等が聞かれた。


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