政府は一月二十九日、平成二十五年度政府予算案を決定した。その内「私立大学等経常費補助」は前年度比十二億三千八百万円（〇・三九％）減の三千百七十五億一千五百万円、また、「私立高等学校等経常費助成費等補助」は同十九億円（一・九％）増の一千二十二億一千四百万円となった。私立学校施設・設備等関係補助については二十四年度補正予算案で四百五十億円を超える予算が計上されたことから二十五年度予算案では全般的に前年度と比べ減額となっているが、二十四年度に創設された「私立大学等教育研究活性化設備整備事業」は同十三億五千三百万円（四三・〇％）増の四十五億円が計上された。（２面に関連表）

　「私立大学等経常費補助」三千百七十五億一千五百円の内訳は、経常的経費を支援する一般補助が二千七百八十二億五千三百万円、わが国の成長を支える人材育成の取り組みに重点支援するなどの特別補助が三百九十二億六千二百万円。この中では、大学力向上のため大学教育の質的転換や特色を発揮して地域の発展を重層的に支える大学づくりなど私立大学が組織的・体系的に取り組む大学改革の基盤充実を図るため、経常費・設備費・施設費を一体として重点的に支援する私立大学等改革総合支援事業が盛り込まれている。具体的には学修環境の充実や教学ガバナンスの改善、学内ワークスタディ等への支援の強化などを促進する。また、特別補助では、授業料減免等の充実や学生の経済的支援体制への支援、被災学生授業料減免、被災私立大学等特別補助等を行う。
　「私立高等学校等経常費助成費等補助」一千二十二億一千四百万円の内訳は、一般補助が八百八十九億四千七百万円、幼稚園特別支援教育経費や教育改革推進特別経費等の特別補助が百六億三千六百万円、特定教育方法支援事業が二十六億三千百万円。初めの二つは都道府県に対する補助、最後は国の直轄事業。二十五年度ではいじめ問題等に対応し教育相談体制の整備を行う取り組みや、教育の国際化を推進する取り組みへの支援拡充、特別支援教育に係る活動の充実に対する補助の創設を行う｡また､私立高等学校等経常費助成費等補助の総額が増えたことから、一般補助の生徒等一人当たり単価は幼稚園から高校まで全て前年度比〇・七％増額している。
　「私立大学等の教育研究装置・施設の整備費に対する補助」は、復興特別会計分を含めて七十一億八千百万円、前年度比一六・一％の減額。ただし二十四年度補正予算案では当初予算額の三倍を上回る二百七十一億七千七百万円が計上される。二十五年度では、私立大学等改革総合支援事業の一環として新たに教育研究施設・教育研究装置補助十億八千万円が計上されたほか、専修学校を対象とした防災機能強化事業、バリアフリー推進事業、エコキャンパス推進事業が新規計上された。専修学校は専門課程と高等課程が対象。
　「私立高等学校等の施設整備費に対する補助」は復興特別会計分を含めて四十七億二千七百万円で前年度比三・二％の減額。この補助は学校施設の高機能化や防災機能強化施設整備、エコキャンパス推進が目的で、耐震補強に関しては平成二十七年度まで補助対象事業費の上限なし。そのほかの事業では補助対象事業の下限額の引き下げなどが行われた。二十四年度補正では約五十億円計上。
　「私立大学等の研究設備等の整備費に対する補助」は二十億三千二百万円で、前年度比三三・五％の減額だが、二十四年度の補正予算案では六十億四千百万円が計上されている。
　「私立高等学校等ＩＴ教育設備整備推進事業」は一億四千七百万円で前年度比八〇・〇％の減額となったが、二十四年度補正予算案では過去三年分に匹敵する十九億八千四百万円が計上された。
　「私立学校施設高度化推進事業費補助」は前年度比六・二％減の十九億六千八百万円。この補助は日本私立学校振興・共済事業団の融資を受けて実施される私立大学や高校等の老朽校舎及び危険建物と認定された旧耐震基準で建設された学校施設の建て替え整備等の事業について利子助成を行うもの。利子助成期間は十年間。「日本私立学校振興・共済事業団貸付事業」は三百八十五億円の財政融資資金を含めて六百三十億円の規模。
　「私立大学等教育研究活性化設備整備事業」は前年度比四三・〇％増の四十五億円を計上した。これは私立大学等改革総合支援事業の一環として大学力向上に向けて設備環境の整備を行うもの。
　「私立学校教員研修費等補助（日本私学教育研究所研究事業費等補助）」は前年度と同額の千九百三十万二千円が計上された。同研究所が実施する初任者研修事業と経験者研修事業、研究事業の費用の一部を国が補助するもの。減額傾向が続いていたが、二十五年度は前年度同額を確保した。
　「公立高校の授業料無償化制及び高等学校等就学支援金」は前年度比十億円減の三千九百五十億円。朝鮮学校に係る経費削減をした以外、大きな変更はないが、平成二十六年度からの所得制限の在り方を含めた高校生の修学支援方策について二十五年度に総合的な検討を行う。


平成25年度文部科学省関係予算案（主な項目）
義務教育費国庫負担金　　１兆4,879億円（697億円減）
全国学力・学習状況調査の悉皆化　　54億円（15億円増）
新たな教育改革に向けた調査研究２億円（新規）
インクルーシブ教育システム構築事業等　　15億円（14億円増）
成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進　　11億円（６億円増）
グローバル人材育成のための大学の国際化と学生の双方向交流の推進　　432億円（13億円減）
幼稚園就園奨励費補助　　235億円（20億円増）
大学等奨学金事業の充実1,069億円（160億円減）
［事業費１兆1,982億円（719億円増）］
国立大学・私立大学の授業料減免等の充実　　351億円（39億円増）
公立学校施設の耐震化及び老朽化対策の推進　　603億円（25億円増）
［24年補正予算案；1,884億円］
国立大学法人運営費交付金　　　１兆792億円（574億円減）
国立大学改革強化推進事業　　140億円（２億円増）
チーム日本競技力向上推進プロジェクト　　28億円（新規）
劇場・音楽堂等活性化事業　　　30億円（新規）
科学研究費助成事業（科研費）　25年度助成見込み額　　2,318億円（11億円増）