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記事2013年2月23日 2264号 (2面) 
いじめ問題対応から大津市が文科相に要望
スクールカウンセラー外部性の強化を
教委制度の問題点、限界も指摘
平成二十三年十月に自殺した市立中学校二年生(男子生徒)に対する、いじめの事実関係、自殺の原因、学校・教育委員会の対応等について調査・検証していた大津市の「大津市立中学校におけるいじめに関する第三者委員会」は、一月三十一日、大津市の越直美市長に報告書を提出した。
 この中で指摘された事項のうち、他の地方自治体においても該当することがありうると考えられる事項に関して、越市長は二月六日、下村博文文部科学大臣に要望書を提出した。具体的には、@教員の定員を増やし、教員一人一人の負担を軽減することが、(いじめ問題等への対応で)一番の有効策と言えることから、小中学校等教職員定数の標準を見直す等、教員定数の増員についての検討A教員研修の充実Bスクールカウンセラーの外部性の強化、生徒のプライバシーに関する秘守義務の厳守、学校・教育委員会に対するスクールカウンセラーの公正中立独立の維持、スクールカウンセラーの配置における公正中立の維持と選任過程の可視化C教員以外の専門スタッフの必要性、弁護士の活用(スクールロイヤーの制度化)、第三者機関の設置、「修復的司法」による解決などを求めている。
 このうち第三者機関に関して大津市の委員会報告では、子どもの権利侵害からの保護、回復のため権限も財源も独立した機関の必要性を指摘。また、「修復的司法」による解決は、終局の目的を当事者間の関係修復とするもの。また、今回の事案の対応に当たり、教育委員会制度自体の問題点や限界を認識したとしており、具体的には、現行の教育委員会制度で、@教育委員会(教育委員長、教育長)A教育委員会と地方公共団体の長B市教育委員会と県教育委員会で―責任と権限の所在が分散、責任の所在が不明確となっている、非常勤の教育委員の限界、民意の反映と政治的中立性を問題と指摘。その改善策としては、教育長は首長の下で教育事務を行い、教育監査委員会が首長を監査する、教育委員会設置は選択制等を提案している。


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