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記事2013年2月23日 2264号 (1面) 
新たな学校種の創設へ「職業実践専門課程」制度化急ぐ
全専各連等が事業計画案決定
公共職業能力開発施設と役割分担
学生生徒 修学支援策拡充 実現も目指す
全国専修学校各種学校総連合会(会長=小林光俊・学校法人敬心学園理事長)は、二月二十一日、東京・市ヶ谷の私学会館で第百十六回理事会を開き、平成二十五年度事業計画原案、同収支予算原案を審議、承認した。六月二十四日に開かれる同連合会の第六十二回定例総会に二十五年度事業計画案、同収支予算案として上程される。

 同連合会の新年度事業計画案で中核となるのは、@職業実践的な教育に特化した新たな学校種創設の早期実現、A現行の専修学校及び各種学校制度の充実・改善に必要な方策の実現―の二点。
 同連合会が、他の学校種との格差等の抜本的解決、職業教育の体系化による複線型教育体系の構築を目指して、学校教育法上の一条校化推進運動に着手して二十五年度で八年目。
 そのため二十五年度では、文部科学省の生涯学習政策局と高等教育局の両局によるワーキングチームが、昨年六月に公表した「専門学校の質的向上及び高等教育における職業教育の充実に係る方策やその進め方について(試案)」の中で示された『「新たな枠組み」の実現とその先導的施行の実施』に関して、引き続き同省と議論を重ね、提言内容の具体化を進める。
 具体的には、同試案の中で「新たな枠組み」の実現に向けた先導的試行として明記された「職業実践専門課程」(仮称)に関して、都道府県協会や会員校の意見を聴取・集約し、同省と協議、文部科学大臣認定制度となる「職業実践専門課程」の基準や手続き等を整理、認定制度の早期かつ円滑な施行を図る方針。
 同省の試案では、@「職業実践専門課程」を制度化する、A必要に応じて設置基準を改正して別途「職業専門課程」(仮称)を創設する、Bそれらの状況を検証し、「新たな学校種(新たな枠組み)」を創設する―との流れが示されていたが、同連合会では、Aの「職業専門課程」の創設は専門学校制度を一層複雑化するとして、@及びBの二段階の流れで必要な活動を展開する方針を決めており、すでに「職業実践専門課程」の制度化の目的や推薦手続き、認定基準など論点別に検討を重ねている。
 当日の理事会で現況報告を行った圓入由美・生涯学習政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室長は、「来年度に制度を告示し、文部科学大臣が課程を認定するというイメージで日々議論している。有識者のご意見もいただき、来年度中には実現させたいと考えている」と述べている。
 一方、現行の専修学校及び各種学校制度の充実・改善に必要な方策の実現に関しては、各地で競合が深刻化している公共職業能力開発施設等との役割分担の徹底を求めていくほか、専修学校・各種学校生の保護者の経済的負担軽減、多様な学習機会を保障する観点から、発達障害等の学生生徒の修学支援、消費税増税に対応した財政的支援、給付型奨学金の創設などを進めていく。
 こうした振興策実現を目指すと同時に、教育の質保証、情報公開、法令遵守等に向けた取り組みも推進していく。また、社会人教育等のニーズにも応え、新たな職業能力評価制度に積極的に取り組むことなど、公的な教育機関としての社会的責任を果たしていく。このほか理事会では、会長選任手続き案が中間報告された。六月の定例総会で改めて審議される。
 なお、当日は、全専各連の理事会に続いて同連合会の課程別設置者別部会の一つである全国学校法人立専門学校協会(小林光俊会長)の理事会も開かれ、平成二十五年度事業計画案等を承認した。六月二十五日の定例総会で審議される。
 事業計画案は大筋で全専各連の事業計画案を踏襲するかたちだが、特に固有の活動として留学生対応策に力を注ぎ、留学生をめぐる専門学校と大学との格差是正を求めていく。


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