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記事2013年12月3日 2291号 (1面) 
中央教育審議会の審議動向 @
教科書採択の改善等検討
教科書採択の改善等検討

初等中等教育分科会




 中央教育審議会の初等中等教育分科会は11月28日、東京・虎ノ門の文部科学省で第86回会合を開き、教科書採択の改善、いじめ防止基本方策の策定等を審議した。

 このうち教科書採択の改善については、同省が、「教科書改革実行プラン」を策定したこと、それを受けて今回と次回の2回の分科会で、教科書採択の改善を検討するよう要請した。同プランでは、通説的な見解がない場合や、特定の事柄、見解を特別に強調している場合等に、よりバランスの取れた記述にするための条項を新設・改正、また政府の統一的な見解や確定した判例がある場合の対応に関する条項を新設するなど教科書検定基準等を改正し、さらに検定関係文書をより具体化、ホームページで公開するなど検定手続きの透明化を図り、平成26年度の中学校用教科書の検定から適用することにしている。

 教科書採択では共同採択について構成市町村による協議ルールを明確化し、「市郡」単位となっている採択地区の設定単位を「市町村」に柔軟化、採択理由・結果など教科書採択に関する情報の公表を求める方針。市町村合併等により「市郡」の存在意義が薄れているため、「市町村」単位とするもの。

 そこで同分科会では、教科書の共同採択に係る協議ルールの明確化、採択地区の設定単位を柔軟化する場合の配慮事項、採択結果・理由等の公表の義務化の是非等を検討する。

 教科書採択を巡っては、平成23年8月、沖縄県八重山採択地区(石垣市、八重山郡〈竹富町、与那国町〉の3市町で構成)は採択する教科書を決定、しかし竹富町では別の出版社の公民の教科書を採択、同省は採択地区での協議の結果に基づいて採択した教育委員会には教科書が無償給与されるが、竹富町は国の無償給与の対象となっていない(地方公共団体が自ら教科書を購入、生徒への無償給与は法律上禁止されてはいない)など現在も混乱が続いており、同省ではこうした事態の拡大を懸念している。共同採択制度では地区内の多くの教員等が教科書内容について綿密な調査研究ができる、周辺市町村への転校で教科書が変わるという学習上の不便がない、教科書の低廉化が期待できるとされている。

 一方、国立学校、私立学校における教科書の採択は、校長が行うこととされているが、教科書の採択結果・理由等の公表を義務化する場合、私立学校の自主性や特別支援学校の採択の特殊性(※一人一人違う教科書の場合も)をどう考えるかも論点とされている。

 11月28日の同分科会では、「私立学校に関しては教育委員会のように教科書を詳細に分析・比較し、細部にわたる採択理由を示すことは難しいため、文科省は各教科書の特徴を示した一覧表を提示してほしい」「どの教科書を選んでもみんな検定済み教科書ではないのか」といった意見が聞かれた。また、「教科書の共同採択制度は、もっと学びたいというような多様な学びに対応しているのか」「情報化が進む中で共同採択は難しいのではないか」といった共同採択制度そのものを問題視する意見も聞かれた。

 一方、いじめ防止基本方策の策定等に関しては、「インターネットいじめでは学校側が把握した時点ですぐに削除できる方策を講じてほしい」との要望も聞かれた。



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