こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2013年12月3日号二ュース >> VIEW

記事2013年12月3日 2291号 (0面) 
私大団体連など3団体 私立大学振興大会2013開催
今こそ、私大・短大の時代
わが国の再生・発展の原動力は私大等
高等教育政策の大転換を

 日本私立大学団体連合会、日本私立短期大学協会、日本私立高等専門学校協会は11月28日、東京・文京区の東京ガーデンパレスで「私立大学振興大会2013」を開催した。この大会は、私立大学等が取り組むべき課題や、大学・短大等の今後の在り方についての共通理解を深めると同時に、来年度私大等関係政府予算案等の要望実現に向け、広く国民に理解と支援を働きかけるもの。




 大会の冒頭、出席した300人を超える私大等関係者を前に、主催者代表として挨拶した清家篤・私大団体連会長(慶應義塾長)は、「わが国の知識基盤社会をリードし、社会の発展に不可欠である私立の高等教育機関の更なる教育研究の質の向上と健全な経営のためには社会に正しいご理解を賜り、その理解に基づいて支援をお願いしなければならない、と思っている。私立の高等教育機関は、社会的使命をしっかり自覚し、経営の健全性の向上に一層努めていかなければならない。私大振興大会2013がそうした機会となることを願っている」と語った。

 その後、来賓として出席の下村博文・文部科学大臣が挨拶に立ち、「教育改革を進める上で、高等教育の8割を担う私立大学の役割は極めて重要。教育は未来に対する先行投資であり、そのために文部科学省が自ら教育目的税等の財源を確保するための研究会、PTを立ち上げる予定にしている」などと語った。

 続いて「わが国の知識基盤社会を先導し、地域に貢献する私立大学・短期大学―今こそ、私立大学・短期大学の時代―」をテーマにパネルディスカッションが開かれた。パネリストは文部科学省の小松親次郎・高等教育局私学部長、清家会長、黒田壽二・金沢工業大学学園長・総長の3氏。佐藤弘毅・日本私立短期大学協会長(目白大学短期大学部学長)がコーディネータを務めた。この中で小松私学部長は、「私学の財政基盤の確立では、メリハリある(補助金の)配分が言われている。今の社会はさまざまな人が支えていかなくてはいけない。『うちの大学はこれで勝負だ』という機能を多機能化させて、それぞれ質を上げていかなくては日本を支えられない。こうなると私学の出番だと思う。さまざまに多機能化したものが伸びられるように支援することができるかどうかが行政の課題だ」と語った。

 また、清家会長は、「個人の知的能力を高めていく以外(日本は直面するグローバル化や高齢化の)難局を突破できない。そのためには大学・短大等への進学率を高め、質を高める必要がある。学生の8割を担う私学は国益を担っていることになる。私学に対する財政支援は国立と比べまだまだ見劣りする」と語り、経常費助成の拡充や耐震改築補助の創設等を要請した。

 黒田総長は、「大学は多様性と重層性を持たないと日本の国民は十分活躍できない。それを担っているのが私立大学。また公共性と信頼性がなくては、大学は地域の中で生き残っていけない」などと語った。

 討議には、テレビ会議システムを通じ日本文理大学や大阪工業大学の学長等も参加、温かい財政支援などを要請した。

 その後は会場に詰め掛けた私大関係者とも意見交換を行ったが、白井克彦・早稲田大学前総長は「私学の努力も足りないと思うが、(教育・研究に)お金が必要なことも事実。(こうしたことを)きっちり考える潮時」とした。その後、大会決議=別掲=が納谷廣美・私大団体連副会長(明治大学学事顧問)から読み上げられ、満場一致で採択され、その場で小松私学部長に手渡された。



記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞