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記事2013年11月3日 2288号 (1面) 
国家戦略特区規制改革事項等検討方針決定
公立学校の運営、民間に開放へ
株立学校団体から意見聴取も




 日本経済再生本部(本部長=安倍晋三・内閣総理大臣)は、10月18日、「国家戦略特区における規制改革事項等の検討方針」を決定した。この検討方針は、わが国の成長の起爆剤となる、世界で一番ビジネスがしやすい環境を創出するため国家戦略特区としての特例措置を検討、具体化を進める16項目を挙げたもので、教育分野では「公立学校運営の民間への開放(公設民営学校設置)」を挙げている。この検討方針に沿って政府は国家戦略特区関連法案を作成、11月5日にも開会中の臨時国会に提出する。

 公設民営学校の設置に関して同方針では、国際バカロレアの普及拡大を通じたグローバル人材の育成やスポーツ・体育の充実などの必要性が増していることから、教育活動の質や公共性を担保しつつ、公立学校で多様な教育を提供する観点から、公立学校運営の民間開放を可能にし、関係地方公共団体と協議しながら、同法施行後1年以内を目途に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講じるとしている。具体的には、同法案が成立した後、国家戦略特区諮問会議が新設され、同会議が今秋にも国家戦略特区で実施するプロジェクトを決定する。またその後、同プロジェクトをどの地域で実施するかなどが検討される。

 同方針案を作成した国家戦略特区ワーキンググループ(座長=八田達夫・大阪大学社会経済研究所招(しょう)聘(へい)教授)は、7月8日、アイデア募集に応じて「公設民営学校プロジェクト」を提案したルネッサンス・アカデミー株式会社の桃井隆良社長から意見聴取している。桃井氏は、株式会社立学校の団体である「新しい学校の会(旧学校設置会社連盟)」の理事長として意見を述べた。その中では、学校法人には認められている法人税、固定資産税の免除や私学助成金が株式会社立学校には認められていないこと、広域通信制高校に関して2012年に追加されたルールのうち、「添削指導、試験は特区内で」という指導は中止すること、私学助成をバウチャー給付に切り替えることなどを訴えた。







大阪市等が民間事業者から課題など聴取




 こうした公設民営学校方式による学校の開設に関しては、大阪府、大阪市では大きな関心を持っており、大阪市教育委員会では10月17日、公立学校運営の民間事業者への委託を検討するため、市場調査を実施することを明らかにした。具体的には大阪市が提案している、「国際バカロレアの認定を受ける公設民営学校の設置」「公立学校運営の民間への開放(中高一貫校新設)」「公立学校運営の民間への開放(既存の小・中学校での実施)」に関して民間事業者を対象に、参入する可能性や、参入を可能とする手法、公立学校運営の課題等について意見を募集する。締め切りは11月6日。政府は10月29日、臨時国会に提出する予定の国家戦略特区関連法案を自由民主党の会議に提示したが、公設民営学校の設置に関しては義務教育段階での実施に懸念の声が上がった。また具体的な特区計画は、国家戦略特区担当大臣(新藤義孝大臣)や実施する地域の首長らが検討するが、そこに文部科学省が加わるかは未定のようだ。






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