こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2013年11月3日号二ュース >> VIEW

記事2013年11月3日 2288号 (1面) 
教育再生実行会議が第4次提言公表
達成度テスト(基礎レベル発展レベル)創設
大学での成績評価・卒業認定を厳格化




 安倍総理が開催する教育再生実行会議(座長=鎌田薫・早稲田大学総長)は、10月31日、発足から約9カ月で4次目となる提言「高等学校教育と大学教育の接続・大学入学者選抜の在り方について」をまとめ、安倍総理に提出した。経済成長の持続には、人材の質の飛躍的向上が必要として、高校教育と大学教育の質確保・向上のため、新たに複数回受験できる「達成度テスト」の基礎レベルと発展レベルを導入することを提言したのが特徴。今後、具体的な実施方法や体制、実施時期等は文部科学省の中央教育審議会で審議する予定だが、実施は5、6年先の見通し。




 今回の提言は高校教育、大学教育、それを繋ぐ大学入学者選抜を一体的に改革しようというもの。

 このうち高校教育に関しては、高校生に主体的に学ぶ習慣と幅広い教養を身に付けさせ、1人1人の個性を伸長し、一定の専門的知識を習得させ、社会の発展に寄与する志や責任感を養うことを求めている。その上で国には、基礎的・基本的な知識・技能や思考力・判断力・表現力など、高校で共通に身に付けるべき目標の明確化、学校にはそうした能力の基礎を確実に育成すること、また国や地方公共団体に多様な体験活動等機会の充実、学校に生徒がこれら能動的・主体的な活動に少なくとも一つ深く取り組むよう指導・支援することを求めている。

 さらに生徒の多様性を踏まえ、高校の特色化を進めると同時に、国に高校の基礎的・共通的な科目・教科について達成度を客観的に把握でき、複数回受験できる「達成度テスト(基礎レベル)」を創設すること、ただし高校の単位や卒業認定、大学入学資格の条件とはせず、生徒の学習意欲喚起や学校の学習改善に繋げるよう提言している。

 大学教育に関しては、大学の多様な機能を踏まえ、アクティブラーニングの導入など大学教育の質的転換、厳格な卒業認定、教育内容・方法の可視化の徹底、人材育成機能の強化、入学後進路変更が柔軟にできる構造への転換等を図ることを提言。厳格な成績評価等で大学が留年を出しても、私学助成等で不利にならない方策を検討。大学の認証評価で教育の質向上の取り組みや学修成果を重視する仕組みを整備するよう求めている。

 大学教育に必要な能力判定には達成度テスト(発展レベル)を導入する。利用は各大学の判断。課す教科・科目を精査し、複数回受験可とする。外国語や職業分野等の外部検定試験の活用も検討する。同テストは結果をレベルに応じて段階的に示し、将来的には試験問題データを集積し、コンピュータを利用した試験方式とする。各大学は達成度テスト(発展レベル)を活用して学力水準の判定を行い、各大学の個別学力検査では語学検定試験や職業分野の各種試験等も学力水準の達成度の判定と同等に扱われるよう大学に促していく方針。面接、論文、高校の推薦書、生徒が主体的に取り組んだ活動、大学入学後の学修計画案なども評価するといった選抜による入学者割合を大幅に増加させる。大学の推薦入試やAO入試では達成度テスト(基礎レベル)の結果活用も可能とする。
記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞