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記事2013年11月23日 2290号 (1面) 
衆議院文部科学委が参考人から意見聴取
高校無償化就学支援金見直し法案、衆院を通過し参院に
私学関係者から意見聴取も

 10月18日に衆議院に提出された「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律案」、いわゆる高校無償化・就学支援金制度を見直して世帯収入910万円を境に所得制限を導入、それで捻出した財源で低・中所得家庭のさらなる教育費負担軽減を図るとともに、公私間格差を是正しようという法案は、11月1日、衆議院の文部科学委員会で下村博文・文部科学大臣から法案の提案理由が説明された。6日には同委員会で実質議論がスタート、8日には4人の参考人から意見聴取が行われた。同日、意見を述べたのは吉田晋・日本私立中学高等学校連合会長、清水信一・高等専修学校協会長、元文部官僚の寺脇研・京都造形芸術大学教授、三輪定宣・千葉大学名誉教授。この中で吉田会長は、今回の見直しについて、「子供たちの学校選択肢が広がるのは大変ありがたいこと、可能な限り早期に実現を」と要請、また、就学支援金に関しては、「都道府県の加算分に大きな格差が生じている。国の加算により都道府県の加算分の是正に期待している」と語った。

 ただし極めてデリケートな問題である所得の確認作業は学校現場にふさわしくないとして、例えば地方自治体の外郭団体の活用等を要請した。また経常費助成費補助金の拡充等も要請した。

 清水参考人は、就学支援金の制度創設の段階から高等専修学校の生徒が対象になったことについて感謝、今回の見直しについても歓迎の意向を表明した。ただし生徒の約4人に1人は生活保護世帯や市町村民税所得割非課税世帯で、経済的に厳しい家庭が多いとして、給付型の奨学金の創設も急ぐよう要請した。また就学支援金により学校選択の幅が広がれば、中途退学の減少にもつながると訴えた。

 寺脇参考人は、高校無償化等制度を創設した際、趣旨の周知が十分ではなかったために予算のバラマキと受け取られたことが、今回の所得制限導入につながったと指摘。三輪参考人は、高校無償化等制度への所得制限の導入は、学校に競争的選別をもたらし、生徒の連帯感を損ねるなどと指摘、高校についても義務教育並みに無償とすべきだなどと語った。このあと議員から所得格差の可視化が教育に与える影響や、学校における事務負担などについて質問が行われた。同法案は13日に衆議院文部科学委員会で自民党、日本維新の会、公明党、みんなの党の賛成で可決、その際、付帯決議が採択された。15日には本会議で可決、現在は参議院文教科学委員会で審議中。



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