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記事2013年11月13日 2289号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
教育再生実行会議第4次提言を討議
高校の類型化≠ノは疑問 達成度テスト設計、別の場で
初等中等教育分科会高等学校教育部会




 中央教育審議会初等中等教育分科会の高等学校教育部会(部会長=小川正人・放送大学教養学部教授)は11月6日、文部科学省で第22回会合を開き、教育再生実行会議の第4次提言「高等学校教育と大学教育との接続・大学入試選抜の在り方について」に関して高橋道和・同会議担当室長(内閣官房内閣審議官)から提言の概要についての説明を受け、その後、文部科学省が論点を説明した。論点は、同会議が提案した@達成度テスト(基礎レベル)に関して、目的、活用方策、対象者、実施方法、実施時期、受験回数、実施場所、A生徒の多面的な学習成果の評価の仕組みの充実・活用方策など。

 その後、第4次提言に関して委員が意見交換したが、委員からは、「高校教育部会では相当議論して学校の特色化、学校の分別化はしないと決めていたが、教育再生実行会議は高校教育部会の過去の議論を読み込んでのことか」と、高校の類型化に疑問の声が上がった。小川部会長も「高校の類型化についてはかなり慎重に扱った」と語ったが、同会議では中教審の詳細な議論を踏まえてのものではないと高橋室長は説明した。また達成度テストが大学入試(AOや推薦入試)に活用されるのなら、試験の監督、問題の管理は厳格に行われるべきで、高校でそうした対応を行うのは無理という意見も聞かれた。

 さらに達成度テストの内容に関して高橋室長は、「基本的にペーパーテストで測れるようなもの、既存の教科で英・数・国+アルファーということが同会議では念頭にあったと思う。規範意識や使命感を測るということを想定していない」と語った。それに対して中教審委員からは「主体性や思考力、判断力をテストで測るのは難しいが、採点しやすいものだけでは、日本として強化すべきことが測れない」という声があった。

 「(第4次提言で達成度テストは複数回受験できるとしている点に関して)2回目を受ける前に前回の成績が開示されなくてはいけない。(そうでなくては指導改善につながらない)」などテストの実施時期の難しさや短期間に成績を出すことの難しさを指摘する意見も聞かれた。また「(達成度テストは)小・中学校の学力テストのB問題を中心にしていけば、生徒は特に受験準備は必要ない。高校側の負担感は薄れるだろう」という意見もあった。こうした数多くの課題、論点が確認されたが、小川部会長は、同会議で全て議論するのは荷が重いとして、詳細は別の会議で検討することを明らかにした。また文部科学省から平成25年度内には審議の一定のまとめを頂きたいと意向が示された。



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