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記事2013年10月3日 2285号 (2面) 
広域通信制高校の質保証
通信制高校の目的見直し必要な条件整備基準の再検討を
山梨大学が第三者評価構築で調査研究報告書

中央教育審議会初等中等教育分科会高等学校教育部会では現在、高校教育全般にわたって見直し作業を続けているが、その中では広域通信制課程の質保証の在り方も討議されている。一部の学校に不適切な実態があることが都道府県関係者等から指摘されているため、同省の前川喜平・初等中等教育局長も私学団体の会合で「第三者評価を実施していくべきだと思う。特区による通信制高校は、一生懸命やっている学校もあるが、質の保証がされていない」などと語っている。

 こうした状況の中で、国立大学法人山梨大学大学教育研究開発センターの「通信制高等学校の第三者評価手法等に関する研究会」(研究代表者=日永龍彦・同センター教授)は、平成23年3月、第三者評価制度構築に関する最終調査研究報告書を公表している。同省の委託を受け調査研究したもの。200ページを超える報告では最後に、調査研究結果を受けて提言をまとめているが、その中では、計画段階では第三者評価の具体的な評価基準や評価手法を検討する予定だったものの、通信制高校の実態を理解するにつれ、現在の法制度のまま自主的な任意団体による第三者評価を導入したところで個々の通信制高校の改善や外部に対する質保証に結び付かない、と指摘。

 その上で提言は、▽高校段階における通信教育の目的・使命が多様化したことを確認し、国や都道府県単位で通信制高校の目的を見直し、多様化を許容しながら、それぞれの使命や目的を果たす上で必要な条件整備基準を再検討する▽行政による通信制高校に対する事前規制と事後の監視体制の見直し▽目的適合性を問うような評価の仕組みを構築する▽全ての通信制高校に共通な評価指標を設定する▽スタンダードとしての基準をただ法令の文言に求めるのではなく、行政機関と学校の当事者が協同して作り上げる▽第三者評価をする者は、自己評価段階から長期にわたって評価者の一部となり、学校の活動に関与し続けられるような評価の在り方を検討する▽第三者が読んである程度の情報が得られるような根拠に基づいた記述中心の自己評価へ変えていく▽通信制高校に関わりをもつ教職員の相互評価(ピアレビュー)を中心とする―必要性を指摘している。



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