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記事2013年10月3日 2285号 (1面) 
教職大学院の質、量充実へ
教員の資質能力向上に係る 当面の改善方策で報告

 文部科学省の「教員の資質能力向上に係る当面の改善方策の実施に向けた協力者会議」(主査=村山紀昭・北海道教育大学名誉教授)は、9月26日、文部科学省内で3回目の会合を開き、「大学院段階の教員養成の改革と充実等について」と題する報告を取りまとめた。国立の教員養成系修士課程が高度職業人養成としての役割を十分果たしているとは言い難いとして段階的に教職大学院に移行、その教職大学院についても学習指導に特化したコースや特別支援教育に特化したコース、学校マネジメントを重点的に学修するコースを設けるなどしてこれまで以上に幅広いニーズに応えられる体制とする。専修免許状に関しては取得に際してインターンシップなど実践的な科目履修を課すよう大学側に求めていく方針だ。




「専修免」で実践的な科目履修

教職課程の情報公開義務化求める




 同協力者会議は、民主党政権だった平成24年8月28日に出された「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について」との中央教育審議会答申を受け、同年9月に初会合を、今年8月に第2回会合を開いていた。その間、同協力者会議の下に設けられた「修士レベルの教員養成課程の改善に関するワーキンググループ」と「教職課程の質の保証等に関するワーキンググループ」が専門的な検討を進め、第3回会合で両WGの報告を合体した報告案を検討、メンター制の導入など一部修正等の意見が出されたが、文部科学省と村山紀昭主査(北海道教育大学名誉教授)に一任する形で報告を取りまとめた。

 審議の途中で、政権交代が生じ、自由民主党の教育再生実行本部が独自の教育改革案(教師塾の全国展開、教師インターンシップの導入等)を提言していることもあって、当初、必修とする予定だった専修免許状取得に際しての学校現場でのインターンシップ(10〜20日間)導入等は選択となったほか、教職大学院の質と量の両面からの充実について報告は詳細には記述していない。報告は教員養成が新しい方向に転換するのだということを打ち出し、対応については各大学に努力を期待したものとなっている。

 このほか報告では教職課程に関する情報の公開を義務付けるよう求めており、具体的には教員養成の理念や養成する教員像に始まって、学生の教員免許状取得状況、教員への就職状況等をホームページ等で公表するよう求めているが、現在、実施に向け検討が進められている大学ポートレートとの関係は不明。また教職課程のグローバル化対応に関しては、学生が留学機会を逃さないよう教育実習の履修のための要件等の柔軟化の促進を打ち出している。こうした改革案がどの程度実施に移されるかは政権交代の影響もあって不透明といえる。

 ただし報告でも指摘していた国立の教員養成系修士課程は徐々に教職大学院に移行する見通しだ。しかし現在、国立の教職大学院は学生を教育委員会に派遣してもらっており、委員の中には「教職大学院は独り立ちして拡大していく状況にない」との指摘もあり、第3回会合でも、「教育委員会の人事担当者に理解してもらう必要がある」「教育委員会が教職大学院に送った人を重用していくことが大事」との意見も聞かれた。専修免許状の実践的な科目に関しては、すでに教職大学院を中核に地域の大学が連合して実習を展開する動きも出ている。



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