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記事2013年10月23日 2287号 (1面) 
高等学校授業料無償化等見直し 私学への支援強化
関連法案、国会に提出、来年度新入生から
就学支援金 公私立高とも所得制限導入 支給額年額最高で約30万円
別途、給付型奨学金を創設

 文部科学省は10月18日、開会中の臨時国会に、「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律案」を提出した。これは現在、授業料を徴収していない公立高校も授業料を徴収することとし、その上で公私立高校等とも新たに所得制限を導入した就学支援金制度に一本化する改正で、来年度の高校新入生から適用する予定。




 公立高校の授業料無償化・私立高校等就学支援金制度は、家庭の教育費負担を軽減するなどの目的で、民主党政権時代の平成22年4月に新規導入された。

 公立高校については、授業料を徴収しない(無償化)制度とし、私立高校については、公立高校授業料額と同額の月額9900円(年額11万8800円)の就学支援金を生徒に支給(私立高校等がその分授業料を減額)、加えて低所得者層には基本額の1・5倍の月額1万4850円(年額17万8200円)、あるいは2倍の月額1万9800円(年額23万7600円)を支給している。

 通信制課程等は就学支援金額が異なる。

 しかし授業料が一部軽減されたとはいえ、私立高校生の保護者にとって教育費は依然大きな負担であり、低所得者層に対するさらなる支援が必要との声が出ていた。

 そうした中で公立高校授業料無償化・私立高校等就学支援金制度の見直しを公約に掲げた自由民主党が昨年末の衆議院議員選挙に大勝し政権に復帰、下村博文・文部科学大臣は就任早々から度々、同制度に所得制限を導入して(年収が一定額以上の家庭にはそうした支援措置を講じない)、それで生じた財源で公私立高校間の格差是正や低所得者層への支援拡大を行う考えを表明してきた。

 今回の見直しは、平成26年4月の入学生から適用され、在校生は現行制度のまま。詳細は改正法案が成立後、政令や省令で規定されることになるが、年収が910万円以上の世帯は公私立とも就学支援金を受けることはできず、公立高校では新たに授業料を負担する生徒が出ることになる。

 私立高校の生徒に対する就学支援金は、年収250万円未満の世帯で年額約30万円、年収250万円〜350万円未満は年額約24万円、年収350万円〜590万円未満は年額約18万円、年収590万円〜910万円未満は年額約12万円となる見通し。

 これとは別に、年収250万円未満程度の世帯(生活保護世帯を除く、別途手当があるため)の国公私立高校生に教科書費、教材費、学用品費等として、国公立高校生年額約13万円、私立高校生年額約14万円の給付金も支給する予定。

 年収はいずれも給与所得控除等前の世帯全体の収入で、4人世帯(子2人)の収入目安。

 このほか特別支援学校の生徒に対する特別支援教育就学奨励費補助の対象範囲等を拡大、海外の日本人学校等に通う日本人高校生に新たに就学支援金に相当する額を支給、また高校等を中退した者が再び高校等で学び直す場合に、法律上の就学支援金支給期間経過後も、卒業までの間(最長2年間)、継続して授業料の支援を行う、専修学校一般課程・各種学校(准看護師や理・美容師など国家資格者養成課程の指定を受けている)も就学支援金の対象とする予定。

 来年度予算の関連法案が前年秋の臨時国会に提出されるのは極めて異例のこと。通常、来年度予算関連法案は年明けからの国会に提出されるが、今回は、各都道府県で再び公立高校の授業料徴収を行うシステム開発や条例改正等の時間が必要なため先行して法改正するもの。公私間格差の是正等の見直し等は、所得制限導入で捻出される財源で賄われるが、現時点で財務省の財政的確約がされているわけではなく、最終的には年末までの政府予算案編成作業の中で確定することになる。



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